というわけで帽子である。
さすがにシルクハットを常日頃からかぶっていたのは貴族か手品師ぐらいだが、以前は普通のソフト帽などは男性が日常的にかぶっていたようだ。
例えば007シリーズが良い例だ。ジェームズ・ボンドがぱっと身をひる返して狙撃手を撃ち倒すというお馴染みのオープニングはシリーズ2作目の『ロシアより愛をこめて(1963)』から付くようになった。この時、コネリー・ボンドはスーツにネクタイ、そしてソフト帽という姿だ。最新作『ダイ・アナザー・デイ(2003)』ではピアース・ブロスナンが撃った弾が銃口に飛び込んで来るという『マトリックス』のような演出になっていて笑ってしまったが、この時ブロスナン・ボンドは帽子をかぶっていない。
ではいつからボンドは帽子をかぶらなくなったのだろうか?調べてみると『ダイヤモンドは永遠に(1971)』のコネリー・ボンドまではかぶっていて、『死ぬのは奴らだ(1973)』年のムーア・ボンドからかぶらなくなっていた。
ショーン・コネリーからロジャー・ムーアにバトンタッチしたので(正確にはもう一人ジョージ・レイゼンビーがいるが)イメージを変えようというのもあったのだろう。だが、それまでの作品中でもボンドはよく帽子をかぶっていて、マネペニーの秘書室で帽子掛けに帽子を投げるシーンなどもある。
日本でも昔のサラリーマンはスーツ姿にソフト帽だった。『サザエさん』の波平がまさにそうだ。(もうずいぶんと観ていないのでいまでもかぶっているかは不明だが)しかしマスオさんの帽子姿というのは記憶にないので、年配の人やある程度の地位にある人が好んでいたのかも知れない。
『秋刀魚の味(1962)』での笠智衆も帽子をかぶっていたシーンがあったはずだが・・・観たのが10年ぐらい前なんで不確かだ。こら松竹、とっとと小津安二郎作品をDVDで出せよ。
以上の点から、どうもどうやら1970年代前半に帽子が日常的ではなくなってきたようだ。ってめちゃめちゃ少ないデータからの憶測だな。
でもソフト帽や夏のパナマ帽なんてのはなかなか粋だと思うんだけどね。個人的にも帽子はわりと好きなんだが・・・