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上野はアメヤ横町にある二階のカレー屋

  昼飯をどうしようかな~と悩み、ココ壱番屋に行く。
 カツカレーの5辛・ライス500gを頼み、とび辛スパイスをうんと振りかけ福神漬けと一緒に食す。美味い。
 美味いと同時に、今までで一番美味かったカレーを思い出す。

 あれは、上野のアメ横通りだった。ウロウロ見て回って腹が空いたわたしは建物の二階にあるカレー屋になんとなく入ってみた。
 カレーはカレーでもインドカレーの店だった。厨房にはインドから着たとおぼしき肌の浅黒い人が働いていた。インドカレーは初めてであった。メニューの中に“ほうれん草のカレー”というのがあり、変わった物が好きなわたしはこれは面白そうだと頼んでみた。しばらく後、ナンと一緒にカレーの皿が運ばれてきた。皿の中のカレーは緑色をしていた。ナンをちぎりカレーをすくい口に運ぶ。少し甘みを感じさせる風味が口の中に広がる。そして数瞬ののちに辛さに変わる。汗を吹き出すほど辛いのだが、不思議と心地よい辛さだ。気が付くとあっという間に食べ終わっていた。マトンカレーのお代わりを頼む。これまた美味い。めっちゃ美味い。辛いのだが、奥深さを感じさせる辛さで、複雑な味が絡み合っているようだ。わたしはインドカレーに打ちのめされた。
 渋谷、新宿方面を活動拠点としていたわたしだったが、その店のカレー食いたさに時折上野にも足を運んだ。
 その後、名古屋に戻ったわたしは、名古屋のカレーブックを買ってカレー屋めぐりをした。かなりの数を回ったのだが、あの上野の店に匹敵するカレーには出会えなかった。
 ひょっとすると、記憶の中で美化しすぎているのかなと思うようになった。
 そんなある日、用事で上京する機会があった。心のどこかで迷いつつも上野に行ってみた。「食べてみて昔感じた味じゃなかったらどうしよう?」「記憶の中にとどめておいたままのほうがいいんじゃないだろうか」そんなことを思いながらわたしは店のドアを開けた。
 そして、わたしの前にはカレーの皿とナンが並んでいる。
 ナンをちぎりカレーをすくった。そして、口へと運ぶ。何年か前そのままの動きだった。そしてカレーも何年か前と同じ味だった。美味い。めっちゃ美味い。
 わたしは心の中で涙を流しながらカレーを食った。カレーはそんなわたしを包み込んでくれた。
 そして・・・わたしはお代わりをした。

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コメント (1)

けん:

昔から文章が上手ですね。映画評だけではない。読んでいると俺もカレーが食べたくなってきました。

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