

原産国アメリカの“AFTER DEATH Sauce”(アフター・デス・ソース)
名前にDEATHが入っている上にラベルガイコツの絵まであしらえてあってまるで毒薬のようだが、これは調味料なのだ。なんつーか、さすがアメリカンなセンスだ。
「ちょっと辛目のタバスコだろう」とカレーに四、五振りほどかけてみる。タバスコのようなチョークになっているフタがなく、そのままビンの口なので合わせて小さじ1杯程度だろうか。カレーから刺激臭がただよう。そのにおいだけで額から汗がにじみ始める。うむむ、これは・・・スプーンを口へ運ぶ。パクリ・・・ん、なんだ大したことはないじゃないか、と思った次の瞬間口の中に痛みが走った。辛いのではない、痛いのだ。額の汗が玉となりそして流れ始める。グワワワワァァァ!慌ててウーロン茶を飲む。
うむむ。カレーの皿を置いて向かい合う。これはただ漫然と食べるのではなくちゃんと攻略法を考える必要がある。さーて、どうするか?考えることおよそ10秒。持久戦で行くと口内のダメージがたまっていくだけだろう。ここは電撃戦でいくに限る。
改めてスプーンを握り直すと、カレーを山盛りにしてかぶりつく。今度は間髪入れずに痛みが襲ってくる。それにはひるまずに食べる食べるひたすら食べ続ける。10口を過ぎた辺りで限界が来る。またウーロン茶に手を伸ばす。飲み干すのではなく口の中に含んで痛みがおさまるのを待つ。ここで立ち止まったら負けだ。香辛料ごときに後れを取るわけにはいかぬ。そして食べる・・・くわっ、もうダメだぁ。
今度は冷蔵庫から氷を取ってきてそれを口に含む。しかし、痛みは引かない。引くどころかまるで燃えているようだ。うぉぉぉぉ、ともだえ苦しむ。
結局、半分ほどで白旗を揚げることになった。普段ココ壱番屋(*)で10辛を頼んだ上にテーブルに置いてあるとび辛スパイスをガンガンかけて食べているわたしがこのざまだ。辛さに弱い人だったら一口食べるのもやっとだろう。
残りは飼っている猫にでもやろうかと思ったが、どう考えても食べるはずがないのでゴミ箱行きに。各生産者の皆さんごめんなさい。
と、ここで終わったと安心していたら、しばらくして胃がキリキリと痛み始めた。中から錐でも突き立てられているような猛烈な痛みだ。ギェェェェと床を転げ回ってまたもや苦しむ。なんか今回は叫んだりうなったりしてばかりだ。
あまりの激しさに「救急車」の文字が頭をよぎったが、119番に電話して「どうしましたか?」との問いに「カレーの辛さで胃が痛いんです」と言っても怒られるだけだろうし、本当に来てしまったら困るだけなので、あきらめて苦しみに耐える。なんだかんだで1時間近く痛みは続いた。
やはりアメリカンというか限度を知らないというか、ドクロは伊達じゃないのであった。ラベルの一番下には「Feel Alive!」とあるが、確かに一段落してから命に別状がなくてよかったと生きてることを実感した。そういった意味では生命の意義が希薄になっている現代人へのアンチテーゼになるのかもしれないが、いちいち香辛料で苦しみやら生の実感を味わいたくはない。
これは封印すべきだなと思いつつも、今度仲間で集まるときに持っていって料理にかけてやれと密かに企む私であった。
2008年2月24日追記
辛さの単位としてスコビルというものがある。タバスコは2140スコビル。AFTER DEATH Sauceは50,000スコビル。最も辛い商品がBlair’s 16 Million Reserveでこいつは1,600万スコビル。なんでも辛さの原料カプサイシンの結晶だそうだ。ここまでくるとどれだけ辛いか想像も付かない。AFTER DEATH Sauceなんて初心者用だそうだ。マジっすか。
(*)名古屋にはあちこちにあるカレーのチェーン店。うちから歩いていけるところに1店。ちょっと車で食べに行くかという距離だと4店とやたらある。暇つぶしに読んだ店内にあるパンフによると全国展開しているらしいが、よその地域での知名度はどの程度なのだろうか?愛知県一宮市が本拠なので名古屋圏においては知らぬ人はない。例のごとく”ココイチ”などと四文字略で呼ばれることが多いが、わたしは断固として”ココ壱番屋”で通している。
辛さやライスの量、そして具を細かく選ぶことができる。味自体はごくオーソドックスなドロリとした日本カレー。福神漬けはタダだがラッキョウは有料なのがちょっと残念。