B00H95C2SM.jpg『ジャン=クロード・ヴァン・ダム/アサシン・ゲーム』 (2011) ASSASSINATION GAMES 100分 アメリカ

監督:アーニー・バーバラッシュ 脚本:アーロン・ラサーン・トーマス 撮影:フィル・パーメット 音楽:ニール・アクリー
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、スコット・アドキンス、ケヴィン・チャップマン、イヴァン・ケイ

『ジャン=クロード・ヴァン・ダム/アサシン・ゲーム』とはなっているが、共演のスコット・アドキンスの方が若干比重が大きいかな。スコット・アドキンスは元インターポールで悪党に妻を植物人間にされてしまい復讐を誓っている。そして重要な機密を持ったままインターポールを抜け今では追われる立場。インターポールの悪徳警官はスコット・アドキンスをあぶり出すために刑務所に入れられていた悪党を保釈する。弟が裁判で無罪になったところを迎えに来た悪党をスコット・アドキンスが狙撃する。だがその瞬間、両者の間に一台のバンが走り込んできて悪党に向けて毒を塗ったボウガンを発射する。スコット・アドキンスの狙撃は失敗し、ボウガンも悪党をそれて弟に命中してしまう。ボウガンを撃ったのは殺し屋のヴァン・ダム。
 そして同じ悪党をターゲットとしたヴァン・ダムとスコット・アドキンスの暗殺合戦が始まった。
 妻に対する復讐心を持っている分、スコット・アドキンスの方に感情移入してしまう。ヴァン・ダムは暗殺報酬目当てだからな。
 今回のヴァン・ダムは銃よりもナイフを得意とする暗殺者。オープニングでは変形型ナイフでロシアンマフィアの要人の首を切り裂く。このシーンでは揉み上げに眼鏡で変装しているのだが、ほとんどコント。
 ジャケットでは銃を構えているが、これは旧式のシングルアクションリボルバー。しかも活躍しないし。
 同じ悪党がターゲットという所がストーリー上の見せ場か。スコット・アドキンスには妻がいるが、ヴァン・ダム側にもヒロインがいる。アパートの隣室に引っ越してきた若い女性で、同居している男性からDVを受けている。チョイ役のくせして、いつの間にかメインヒロインの座におさまっている図々しい女だ。
 舞台は最近のヴァン・ダム映画らしく東欧である。アメリカで撮影するより安く上がるんだろうな。ヴァン・ダムの格闘アクションは控えめで、そのせいか日本では劇場未公開。どうやらアメリカでも劇場未公開だったようだ。
 ヴァン・ダムのキャラにもうちょっと深みがあればなと思う。

『ミニミニ大作戦』(1969) 自己責任の世界

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B000EWBUO4.jpg『ミニミニ大作戦』 (1969) THE ITALIAN JOB 100分 イギリス/アメリカ PARAMOUNT PICTURES

監督:ピーター・コリンソン 製作:マイケル・ディーリー 脚本:トロイ・ケネディ・マーティン 撮影:チック・ウォーターソン 音楽:クインシー・ジョーンズ
出演:マイケル・ケイン、ノエル・カワード、ベニー・ヒル、トニー・ベックリー、ラフ・ヴァローネ、ロッサノ・ブラッツィ、マギー・ブライ、レリア・ゴルドーニ

 イタリアの金塊護送車を交通渋滞を利用して盗んでしまえと言うコミカル犯罪映画。主演はマイケル・ケインだが40年以上前の作品だけあってマイケル・ケインが若い。日本語吹替で観たのだが吹替担当は広川太一郎。飄々としたマイケル・ケインに太一郎節が実に合っている。
 マイケル・ケインは2年の服役を終えて出所したばかり。そこへすでにイタリアマフィアによって殺された友人の遺言フィルムで400万ドルの金塊強奪プランを教えられる。
 イギリスの刑務所にいる大物にスポンサーになってもらい計画に取りかかる。この大物がとにかくイギリス女王マニアで壁一面に女王の写真を貼り付けているのが笑える。
 そして肥満体の女性を偏愛しているコンピューター技師などに声を掛けるので、『七人の侍』ばりに仲間を集めていくのかと思ったら、次のシーンではドライバーなどメンバーが勢揃いしてしまうのがちょっと残念。
 そして金塊強奪のための訓練を積むのだが失敗ばかり。これで本当に大丈夫なのか。
 犯行当日はコンピューター技師に信号をコントロールするコンピューターを操作させ、赤信号だらけに。おかげで普段から渋滞するローマ市街は大混乱に。その隙に乗じて金塊を三台のミニクーパーに乗せて逃走を図る。車体が小さいミニだから狭い道や下水道なども平気で走る。しまいには体育館の屋根にまで登ってしまう。
 極力暴力をさせる作戦が粋で、金塊護送車のガードマンを棒で叩きのめしてしまうぐらい。後は愉快なカーチェイスが続く。
 ラストは「悪人が勝つ」というのでは筋が通らないと考えたのか、成功なのか失敗したのか微妙な終わり方になってしまう。『黄金の七人』などもそうだが、この頃は犯罪者は勝たせてもらえなかった。
 今ならばミノのカーチェイスもCGが多用されるのだろうが、実写というのが嬉しい。高級車の数々がイタリアマフィアによって破壊され意外に予算もかかっているのかも。ガワだけかも知れないけどね。
 400万ドル分の金塊を3台のミニの後部トランクに入れて運ぶのだが、重さとしてバランスは取れたんだろうか。10円玉を後ろに挟んだチョロQみたいにウィリーしてしまいそうだが。

『ライフ・イズ・ベースボール』 劇作家の憂鬱

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B000UI4QUC.jpg『ライフ・イズ・ベースボール』 (2005) GAME 6 83分 アメリカ

監督:マイケル・ホフマン 製作:グリフィン・ダン、エイミー・ロビンソン、レスリー・アーダング 製作総指揮:マイケル・ノジック、デヴィッド・スキナー、ブライアン・アイラー、クリスティーナ・ヴァイス・ルーリー 脚本:ドン・デリーロ 撮影:デヴィッド・M・ダンラップ 音楽:ヨ・ラ・テンゴ
出演:マイケル・キートン、ロバート・ダウニー・Jr、キャサリン・オハラ、グリフィン・ダン、アリ・グレイナー、ビービー・ニューワース、シャロム・ハーロウ、ロジャー・リース、ハリス・ユーリン、ナディア・ダジャニ、ニール・ジョーンズ、リリアス・ホワイト

『ニード・フォー・スピード』(2014)ではすっかり貫禄がついてしまったマイケル・キートンだが、この作品ではそれなりに若い。マイケル・キートンは劇作家でレッド・ソックスの熱狂的なファンで、何十年も優勝していないレッド・ソックスが今年は調子が良く、メッツとの優勝戦にもつれ込んでいる。
 だが、マイケル・キートンは長年つき合っている愛人がいて、妻とは離婚寸前。娘も彼に冷たく当たる。そんなマイケル・キートンの新作が劇場にかかることになる。だが、マイケルは劇よりもレッド・ソックスとメッツとの試合に夢中。そこに冷酷な批評家のロバート・ダウニー・Jrが絡んでくる。
 最近では『アイアンマン』とか『シャーロック・ホームズ』シリーズなどでバカ役者のイメージが強いロバートだが、今作では東洋文化に傾倒している批評家として深みのある演技を見せている。妙な色気もあって、ゾクッとしてしまう。マイケル・キートンと対決しそうになるのだが、二人ともレッド・ソックスファンと言うことで意気投合してしまうラストが可笑しい。
 作品としては地味目な展開で、マイケル・キートンは劇作家として売れる前はタクシードライバーをやっていたようで、乗るタクシーの運転手に「オレも昔はタクシードライバーだったんだ」という繰り返しが、彼の孤独さを感じさせる。
 アメリカ人にとってはベースボール、特にホームチームを応援することが一種の誇りであることを感じさせる。
 舞台の初日などもっと派手にする要素はあるのだが、それをあえて抑えた作風である。そしてエンドロールでかかる『私を野球につれてって』。アメリカ人はほんと野球が好きだな。
『狼男アメリカン』(1981)で狼男に食われてしまい亡霊として現れたり、『アフター・アワーズ』(1985)で散々な目にあわされる主人公を演じたグリフィン・ダンが出演している。と思ったら、製作にも名を連ねているのか。

『アナコンダ2』 巨大アナコンダの襲撃

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B002UMAIRG.jpg『アナコンダ2』 (2004) ANACONDAS: THE HUNT FOR THE BLOOD ORCHID 96分 アメリカ COLUMBIA PICTURES、SCREEN GEMS

監督:ドワイト・リトル 製作:ヴァーナ・ハラー 製作総指揮:ジャコバス・ローズ 原案:ハンス・バウアー、ジム・キャッシュ、ジャック・エップス・Jr 脚本:ジョン・クラフリン、ダニエル・ゼルマン、マイケル・マイナー、エド・ニューマイヤー オリジナル脚本:ハンス・バウアー、ジム・キャッシュ、ジャック・エップス・Jr 撮影:スティーヴン・F・ウィンドン 音楽:ネリダ・タイソン=チュウ
出演:ジョニー・メスナー、ケイディー・ストリックランド、マシュー・マースデン、モリス・チェスナット、カール・ユーン、サリー・リチャードソン=ホイットフィールド、ユージン・バード、ニコラス・ゴンザレス、アンディ・アンダーソン

 風邪にも癌にも効く万能薬の材料となる"不死の蘭"を採取するために製薬会社の連中がボルネオに行く。しかし、現地は雨季で船乗りたちは船を出したがらない。そんな中、元特殊部隊員のボロ船だけが大金で船を出すことを承知する。
 そして河に乗り出した彼らだが、その先には不死の蘭を食って大幅に寿命が延び、通常以上に巨大化したアナコンダの群れが待ち構えていた。
 巨大なアナコンダを敵にした動物パニックモノで、それ以上でもそれ以下でもない。
 こいつは食われ役かなと思っていた人物が最期まで生き残ったり、ギャーギャー叫ぶだけだった女性二人が段々逞しくなっていくところは良かった。
 仲間を裏切って不死の蘭を手に入れようとした男は自業自得で蛇の群れに食われて死んでしまう。アナコンダの腹の中に収まった後、じっくりと消化されていくんだろうな。やな死に方だが、嫌なヤツなのでこれでいいのだ。
 前作と比べるとアナコンダの存在感が薄く、実はそんなに怖くない。群れで出てくるよりも、一匹が執拗に追い続けてくる方が怖かったのかも知れん。
 主人公の元特殊部隊員もワニを相手にナイフ一本で戦うぐらいであんまり活躍しないんだよな。脚本家がやたら多いんだけど、リテイクが続いたのかね。
 この後、『アナコンダ4』まで作られるが、シリーズを重ねるごとにつまらなくなっていく。やはり『1』が最高かな。ジョン・ボイドも良かったし。

『マキシマム・ソルジャー』 レンジャーは戦う

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B00M2FFW4K.jpg『マキシマム・ソルジャー』 (2013) ENEMIES CLOSER 85分 アメリカ AFTER DARK FILM

監督:ピーター・ハイアムズ 製作:モシュ・ディアマント、コートニー・ソロモン、オーランド・ジョーンズ 製作総指揮:ボビー・ランゲロフ、ステファニー・ケイレブ 脚本:エリック・ブロムバーグ、ジェームズ・ブロムバーグ 撮影:ピーター・ハイアムズ プロダクションデザイン:フィリップ・ハリソン 衣装デザイン:イリーナ・コチェヴァ 編集:ジョン・ハイアムズ 音楽:トニー・モラレス
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、トム・エヴェレット・スコット、オーランド・ジョーンズ、リンジー・クッカー、クリス・ヴァン・ダム

 主人公は国立公園である島の公園レンジャー。夜になると観光客は帰ってしまい、島にいるのは彼と、国立公園になる前から住んでいた気むずかしい老人の二人だけ。と、夜になった監視所に一人の黒人が現れる。道に迷ってしまってボートまでたどり着けず帰れなかったというのだ。黒人の言葉に嘘を感じ取ったレンジャーはナイフを取り出す。すると黒人は拳銃を抜いていた。黒人はレンジャーに復讐するためにやって来たのだ。
 そこへ湖に20キロのヘロインを積んだセスナ機が墜落したため、麻薬業者が回収にやって来る。銃撃戦になり、麻薬業者のダイバーが撃ち殺されてしまう。このままではヘロインを引き上げられないと悟った麻薬業者はレンジャーが軍でフロッグマンをやっていたのを知っていて、彼に引き上げさせようとする。期限は夜明けまで、レンジャーと黒人は今回だけ手を組み、彼らの戦いが始まった。
 で、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演だからレンジャーがヴァン・ダムなのかと思いきや、麻薬業者のボスで異常者がヴァン・ダムなのである。悪役が意外に似合っている。『エクスペンダブルズ2』で悪役が気に入ったのだろうか。
 監督・撮影はピーター・ハイアムズ。ヴァン・ダムとは何作も組んでいて息もピッタリ合っている。しかし、プーター・ハイアムズは1943年生まれなのにまだまだ元気な様子で、低予算B級アクション映画を楽しそうに撮っている。編集のジョン・ハイアダムズは息子だな。
 主人公側の武器は拳銃一丁とナイフだけだが、軍の特殊部隊にいたレンジャーは即席で罠を仕掛け、敵の数を減らしていく。
 電話を求めて老人宅にいくのだが、この老人がなぜ執拗なまでに頑固なのか説明がなかったのがもったいなかった。ライフルでヴァン・ダムたちに立ち向かうのだが、朝鮮戦争やベトナム戦争で戦った元歴戦の勇士なのだろうか。
 子供の頃に可愛がっていたアヒルを夕食に出されて以来、完全菜食主義者になってしまったというヴァン・ダムのイカれたキャラは面白い。「環境を破壊するから」という理由で銃器は使わず素手での格闘戦に持ち込む。その割りには環境を思いっきし破壊する死に方をするが。髪型は微妙。
 いつもならヴァン・ダム映画はパトス辺りで限定公開されたりするのだが、今回はついに劇場未公開だったようだ。ヴァン・ダム映画も人気に陰りが出たか、それとも悪役だからだろうか。

『ニード・フォー・スピード』 警官が可哀想

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B00MGECA1A.jpg『ニード・フォー・スピード』 (2014) NEED FOR SPEED 131分 アメリカ TOUCHSTONE PICTURES、DREAMWORKS PICTURES

監督:スコット・ウォー 製作:ジョン・ゲイティンズ、パトリック・オブライエン、マーク・スーリアン 製作総指揮:スチュアート・ベッサー、スコット・ウォー、マックス・ライトマン、フランク・ジボー、パトリック・ソーダールンド、ティム・ムーア 原案:ジョージ・ゲイティンズ、ジョン・ゲイティンズ 脚本:ジョージ・ゲイティンズ 撮影:シ-- ェーン・ハールバット プロダクションデザイン:ジョン・ハットマン 衣装デザイン:エレン・マイロニック 編集:ポール・ルベル、スコット・ウォー 音楽:ネイサン・ファースト
出演:アーロン・ポール、ドミニク・クーパー、イモージェン・プーツ、ラモン・ロドリゲス、マイケル・キートン、スコット・メスカディ、ラミ・マレック、ハリソン・ギルバートソン、ダコタ・ジョンソン

 なんか『ワイルド・スピード』シリーズが大ヒットを繰り返しとるけん、ウチらも自動車レース映画を作って一儲けしたろうか、と考えたのかどうかは知らないが、おそらくそんなところ。『ワイルド・スピード』はもう公道レースではなく犯罪映画になってしまっているが、こちらは公道レースと主人公の悪役への復讐に的を絞っている。
 原作はエレクトリック・アーツの人気PCゲーム。パッケージは見たことがあるがプレイしたことはない。というかカーレースゲームって興味ないんだよね。やりこんだのはタイトーの『チェイスH.Q.』ぐらい。でもあれは主人公が覆面パトカーに乗った刑事で、逃走する犯人の車に自車をぶつけてクラッシュさせるとクリアというゲームなので、レースゲームに分類して良いのやら。
 主人公は腕利きの整備工。悪役にマスタングの改造工事をまかされ見事な車に仕上げる。ところが主人公が悪役のカンに障ってしまったモノだから、主人公の弟分と合わせた三人で公道レースをすることになる。主人公が抜群の運転技術を見せ、もはやゴールは目前。その時に、悪役が進路を塞いでいる弟分の車にワザとぶつけ、車は横転し爆発してしまう。ところが、悪役は当日は他の人と会っていたとアリバイ工作がされ、レースに使った車は盗まれたことになっていた。
 そのため、主人公は刑務所に2年間入れられてしまう。ようやく仮出所してくるが、整備工場は銀行に差し押さえられ、もう何も残っていない。あるのは悪役への復讐心だけだ。
 そこで主人公はカリフォルニアで開催される公道レース"デレオン"で悪役と対決することにする。以前改造したマスタングをオーナーから借り、お目付役として金髪美女が同行することになる。
 とにかくひたすら車が走りまくる映画。街中で暴走するので一般車両を巻き込んだ事故が続発する。この辺りで、あまり主人公に感情移入出来ないな。
 デレオンでは公道レースに気付いた警察がパトカーを送り込んでくるのだが、これが何台も横転するなどして大破している。車はともかく運転していた警官は大丈夫だったのだろうか。ここら辺も好きになれんね。
 デレオンの主宰者としてマイケル・キートンが登場する。老けたなー。ネットでデレオンの中継もする芸達者ぶり。若手俳優中心の中で、良い意味で重みとなってくれていた。
 仮出所した主人公は昔の整備士仲間を集めるのだが、一人はネクタイを締めてオフィスで働くビジネスマンになっていた。そんな彼を電話で窓に呼び寄せ、車の走りっぷりを見せる。そして「ほら、カーブの時に車体が傾くだろ。あの調整はお前にしかできないんだ」と告げる。ビジネスマンはネクタイを外し、シャツを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、パンツを脱ぎ...えっ、全裸? ここはなかなか笑えた。
 ラストで主人公は事故った悪役を助ける。そして一位でゴールした後に警察に逮捕される。仮出所中に州外に出たり、悪質な公道レースをやった割りには半年ほどで刑務所から出てくる。もっと重い罪だと思うんだがなぁ。
 エンドロールの途中で「このカーアクションは訓練を積んだスタントマンが演じている。決して真似をしないでください」と表示されるが、真似するヤツいないって。いや、いるかな。馬鹿は多いからな。万が一の時に責任を追及されないためにもこの一文は入れておくべきか。でも真似するような馬鹿はエンドロールが始まると劇場を出てしまうから最初に入れなきゃ。

B00HZZ5UNK.jpg『X-MEN:フューチャー&パスト』 (2014) X-MEN: DAYS OF FUTURE PAST 132分 アメリカ 20th CENTURY FOX、TSG ENTERTEINMENT、BAD HAT HARRY、MARVEL ENTERTAINMENT

監督:ブライアン・シンガー 製作:ローレン・シュラー・ドナー、ブライアン・シンガー、サイモン・キンバーグ、ハッチ・パーカー 製作総指揮:スタン・リー、トッド・ハロウェル、ジョシュ・マクラグレン 原案:ジェーン・ゴールドマン、サイモン・キンバーグ、マシュー・ヴォーン 脚本:サイモン・キンバーグ 撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル プロダクションデザイン:ジョン・マイヤー 衣装デザイン:ルイーズ・ミンゲンバック 編集:ジョン・オットマン 音楽:ジョン・オットマン
出演:ヒュー・ジャックマン、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ハル・ベリー、ニコラス・ホルト、エレン・ペイジ、ピーター・ディンクレイジ、ショーン・アシュモア、オマール・シー、エヴァン・ピーターズ、ダニエル・クドモア、ファン・ビンビン、エイダン・カント、ブーブー・スチュワート、イアン・マッケラン、パトリック・スチュワート、ルーカス・ティル、ジョシュ・ヘルマン、エヴァン・ジョニカイト、マーク・カマチョ、アンナ・パキン、ファムケ・ヤンセン、ジェームズ・マースデン、ケルシー・グラマー

 正直、ブライアン・シンガーはもう『X-MEN』に飽きているんじゃないだろうかと思う。何作作ってるんだよ。1作目では人間の味方であるミュータントのX-MENが人類を滅ぼそうとしているマグニート軍団と戦っていたはずだが、今作ではX-MENとマグニートは共闘している。いつから仲直りしたんだっけ。全作観てはいるが、記憶力が無い人なのですっかりグチャグチャだ。シリーズ自体、予想を超えるヒットで止めるに止められず作り続けているのではないだろうか。ブライアン・シンガーは『スーパーマンリターンズ』(2006)を大コケさせたのでなかなか手を引けないのではないかと。
 シリーズを続けさせるために無理矢理増築を重ねた家のような脚本になっている。でも原作のアメコミの方もかなり無理な展開があるそうだからこれでいいのか。
 今回の敵は人類が作り出した対ミュータント人型兵器。こいつらはものすごく強力でミュータントは滅ぼされる寸前まで追いつめられている。この人型兵器は1973年にミスティークが兵器発明家を殺害したことをきっかけに作られた。そこで、プロフェッサーXはウルヴァリンを1973年に送り込み、暗殺を阻止することにする。
 どっかで聞いたようなストーリーだと思ったら『ターミネーター』の変種だな。1973年という過去に行くという意味では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的でもある。大ヒットした2本の映画が元にあるせいかこの作品も結構面白い。1973年という時代を感じさせる部分はあまりなかったが。パンナムのジェット機が飛んでたな、そういえば。
 兵器開発者を演じているのが小人症の俳優である。日本だったら許されない配役なんだろう。その逆差別によって日本には小人症の俳優は多分いない。ハリウッドには『ウィロー』などを観ても分かるけど、ちゃんと小人症の俳優が小人症を個性としてウリにしている。どちらが健全なのかというと、ハリウッドだと思うよ。
 ラストはすべてが上手く収まりハッピーエンド。これでシリーズ完結かな? と思ったらエンドロール後にオマケ映像があり、ミュータントらしき人物がパワーでピラミッドを組みたてていた。この作品もヒットしたようだし、まだまだ続きそうだ。イアン・マッケランはそろそろヤバそうな気もするが。
 3Dなので吹替で観た。そしたら今作で大きな位置を占めるミスティークの吹替が剛力彩芽だった... 『プロメテウス』であれだけ酷評されてまだ使うか。そしてまだ出るか。恥を知っているなら辞退しろよ。酷評されたので多少は訓練を積んだのか、多少はマシになっていたがあくまでも『プロメテウス』と比較してだからな。別に声優至上主義じゃないので上手い人なら役者でも芸人でもスポーツ選手でもなんでもいいのだが、下手なのはダメ。

B00LEC66ME.jpg『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』 (2014) 97分 日本 東宝、シンエイ動画

監督:高橋渉 演出:池端たかし 絵コンテ:高橋渉、湯浅政明、池端たかし、猫賀大介 チーフプロデューサー:和田泰、赤津一彦、鶴崎りか、箕浦克史 プロデューサー:吉田有希、岸本隆宏、松久智治、鈴木健介 原作:臼井儀人 脚本:中島かずき キャラクターデザイン:原勝徳、大塚正実 作画監督:原勝徳、大森孝敏、針金屋英郎 美術監督:高橋佐知、沖吉真由美 色彩設計:野中幸子 撮影監督:梅田俊之 編集:村井秀明 音響監督:大熊昭 音楽:荒川敏行、宮崎慎二 主題歌:きゃりーぱみゅぱみゅ ねんどアニメ:石田卓也
声の出演:矢島晶子、藤原啓治、ならはしみき、こおろぎさとみ、真柴摩利、林玉緒、一龍斎貞友、佐藤智恵、"納谷六朗"、寺田はるひ、富沢美智恵、玉川砂記子、萩森イ旬子、大塚智子、鈴木れい子、中村大樹、三浦雅子、大滝進矢、檜山修之、立木文彦、武井咲、コロッケ、一木美名子、清川元夢、田口昂、星野充昭、隈本吉成、小田敏充、伊藤史隆、佐藤裕二、久保田直子、神代知衣、茂呂田かおる、沢海陽子、青山桐子、深田愛衣、遊佐浩二、大和田伸也

 しんのすけととーちゃんがカンタムロボの劇場版を観終わったところから映画は始まる。劇中劇のカンタムロボは通常型カンタムロボが多数合体して超超超超カンタムロボ(超の数合ってるかな?)なインフレロボになって敵を撃破する。
 劇場を出たしんのすけ父子はノリノリで、合体だーと父親のひろしがしんのすけを肩車しようとしてぎっくり腰になってしまう。後のシーンで明らかになるのだが、ひろしの年齢は35歳とぎっくり腰にはまだちょっと早くないか。
 庭の草むしり、植木の剪定、飼い犬のシロの犬小屋修繕、そしてテレビのアンテナの修正などやることが山盛りで、妻のみさえに叱られたひろしはとぼとぼと家を出る。そして胡散臭いメンズエステのアンケートに引っかかり、ぎっくり腰も治してくれるという無料エステを受けることになる。そしてエステが終わったひろしは身体が快調。車よりも速く走れるようになっている。だが、そんなひろしを出迎えたみさえたちは怯えた目で見る。ひろしはロボひろしに改造されていたのだ。
 最初の内は家族から遠ざけられ、家事などの意外な実力を発揮したロボひろしは野原家に家長として迎え入れられる。だが、しんのすけがもらってきた鉄製のヒゲを付けた途端、「ワシがこの家で一番偉いんじゃー」と威張り出す。すべては日本の父親の復権を求めたちちゆれ団の策略だったのだ。
 最近は良い意味で子供向けだったクレヨンしんちゃんが久しぶりに中年男性にも泣かせてくれるストーリーを作り上げた。脚本はアニメ『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』などの中島かずき。今回も熱い。
 ロボひろしはひろしが改造されたのではなく、コピーロボットであることが終盤で明らかになり、解放された人々の中で妻のみさえはロボひろしではなく生身のひろしに抱きついていく。この時のロボひろしの心境はいかにつらく悲しいものだったであろうか。アンドロイドが人間の感情を持つ。もはやSFである。『ブレードランナー』の世界だな。あるいはアイザック・アシモフのロボットシリーズ。
 そしてラストは作中で何度か使われた腕相撲で生身のひろしとロボひろしが決着を付ける。ここは泣けるぞ。
 陰気なロボット博士役で登場するコロッケや、終盤の巨大五木ひろしロボ(声はもちろんコロッケ)は余分な気もするが、子供には受けたのだろうな。
『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)でも今作の古い父親像復権を目指したちちゆれ団も現在を生きているしんのすけたちに打ちのめされてしまう。子供たちのエネルギーには敵わないのだ。
 しんすけの友人達による『かすかべ防衛隊』があまり活躍しないのは残念。今回は野原一家に焦点を当てたか。
 一見ヤクザにしか見えない保育園の園長を演じた納谷六朗が先日亡くなってしまった。兄の納谷悟朗の後を追ったのかな。それにしても一朗からそろってるんだろうか、この兄弟は。主役級は少なかったけど、脇役で良い演技をしてくれました。天国で兄貴と一杯やってください。
 一番のアクションシーンは大っ嫌いなピーマンの山盛りをしんのすけが必死に食べてしまうところ。こんなアクションはクレヨンしんちゃんでしか成立しない。えっ、ガキがピーマンを食べるだけだって? 違う、アクションなんだよ。これが分からないヤツにアクション映画を語る資格はない。

『ザ・デプス』 海底にヤツがいる

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B00L32DE3O.jpg『ザ・デプス』 (1989) DEEPSTAR SIX 99分 アメリカ PARAMOUNT PICTURES、TRI STAR PICTURES、CAROLCO

監督:ショーン・S・カニンガム 製作:ショーン・S・カニンガム、パトリック・マーキー 製作総指揮:マリオ・カサール、アンドリュー・G・ヴァイナ 原案:ルイス・アバナシー 脚本:ルイス・アバナシー、ジョフ・ミラー 撮影:マック・アールバーグ 音楽:ハリー・マンフレディーニ
出演:グレッグ・エヴィガン、ナンシー・エヴァーハード、ミゲル・ファーラー、ニア・ピープルズ、マット・マッコイ、シンディ・ピケット、マリウス・ウェイヤーズ、エリヤ・バスキン、トム・ブレイ、ロン・キャロル

 原題は『DEEPSTAR SIX』だが、STARが宇宙モノのイメージがあると考えたのだろうか、邦題はまんま『ザ・デプス』である。この頃は『リバイアサン』(1989)など深海モノがちょっとしたブームだった。『リバイアサン』は『エイリアン』の舞台を深海にしただけと言った感じだったが、こちらは海底にミサイル発射基地を作るために海底の空洞を爆破したらモンスターが出てきて大騒動になるというモンスターものである。
 予算の都合か、モンスターはあまり画面に映し出されない。それよりも、原子炉がトラブルのため臨界を迎えつつあり、海底から脱出しようとする人間たちのあがき具合が面白い。
 ミゲル・ファーラー(『ロボコップ』の1作目でロボコップ計画を立案した人)はどうせ小悪党なんだろうなと思っていたら、小心者で他の生存者を見捨てて一人だけ脱出艇で逃げ出してしまう。しかし減圧していなかったので途中で鼻血が流れ始め手の血管から血が噴き出し、最期には爆発してしまう。深海魚を釣り上げると内臓がはみ出していることなどからのイメージなのだろう。実際には血管中の窒素が泡になって潜水病にはなるだろうが、破裂はしないよな?
 モンスターは蟹とシャコの合いの子のようなイメージ。数メートルはあるのだが、この巨体は空洞の中で何を食べて生きていたのだろうか。空洞の中に生態系が出来上がっていて、ちゃんと餌があったのか?
 主役のグレッグ・エヴィガンがなかなか渋い男。ラストは自分を犠牲にしてヒロインを助けたかと思いきや、ちゃんと生き残っている。この終わり方の方が良いわな。
 そして同じく1989年には深海モノとしてジェームズ・キャメロンの『アビス』が登場するわけだが、エイリアン系、モンスター系ときて、キャメロンはどんな手で来るのだろうかと思っていたら、まったく予想を外してきた。面白かったけど、キャメロンはもうB級アクションはやらないのかなと残念に感じたことを覚えている。

『ディーバ』 私の歌を始めて聴いたわ

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B00511ITQU.jpg『ディーバ』 (1981) DIVA 118分 フランス

監督:ジャン=ジャック・ベネックス 製作:セルジュ・シルベルマン 原作:ドラコルタ 脚本:ジャン=ジャック・ベネックス、ジャン・ヴァン・アム 撮影:フィリップ・ルースロ 音楽:ウラディミール・コスマ
出演:ウィルヘルメニア・フェルナンデス、フレデリック・アンドレイ、リシャール・ボーランジェ、チュイ・アン・リュー、アニー・ロマン

 レコードを発売しない女性歌手のコンサートを盗み録りした郵便配達の青年。その青年の郵便配達のバイクに偶然放り込まれた人身売買を告発したテープ。コンサートのテープを手に入れ海賊版のレコードを出そうと企んでいる台湾マフィアと、告発テープに人身売買組織のリーダーとして名前を上げられた警察の警視とその部下が、それぞれ青年を追い始める。
 ストーリーだけだとヒッチコック系の巻き込まれ型サスペンスである。ただ久しぶりに観たらずいぶん印象が違っていて、二つの組織がどちらのテープを狙っているかでもっと話が複雑になっていた記憶であったのだが、実際にはほとんど独立した話になっていた。二本のテープの存在をもっと上手く絡めた脚本にはできなかったのかな。
 美術が面白くて、青年の家は貸倉庫で入り口には廃車になった高級車が並んでいて、寝室にはリタ・ヘイワースのヌード画が描かれている。青年の味方になってくれる正体不明の男は蒼を基調とした部屋に住んでいて、波を作る機械が静かに波を作り出している。床一面に巨大なジグソーパズルが作られている最中で、男の周りをベトナム系の少女がローラースケートで走り回る。
 文芸的な雰囲気映画かなと思ったら、警視の部下に追われた青年が原付バイクで地下鉄構内を走りチェイスシーンが始まる。この辺りのリズムはかなりアクションしていて、ベネックスはアクション映画も撮れるのではないかと思うのだが、本人に興味がなさそうだ。大学で哲学を専攻していたというのはいかにもな感じだが、のちに薬学も修めたというよく分からない経歴の監督である。文系か理系かどっちやねん。薬剤師の資格を持っているとつぶしがきくそうだから、映画監督として食っていけなくても職はあるな。
 青年は二十歳過ぎだろう。女性歌手ディーバは32歳とおそらく10歳ほど年上。そんな年齢差のカップルの愛を描いた恋愛映画でもある。ラストでは空っぽのオペラハウスのステージに一人立つディーバに青年が盗み録りしたテープを聴かせる。
「私の歌を始めて聴いたわ」
 ディーバはそう呟く。
 かなりハチャメチャな部分もある作品ではある。青い部屋の男の正体はよく分からないし、どうして青年を助けてくれるのかも謎だ。告発テープはともかく、盗み録りしたテープについては青年の自業自得であまり主人公に感情移入ができないのもマイナス。原作小説があるようだが、そちらはどうなっているのだろうか。