『コードネーム:プリンス』 伝説の殺し屋

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『コードネーム:プリンス』 (2014) THE PRINCE 93分 アメリカ HANNIBAL CLASSICS、EFF、UNION INVERSTMENT PARTNERS

監督:ブライアン・A・ミラー 製作:ランドール・エメット、ジョージ・ファーラ、サミュエル・Y・ハ、フー・スーヨン、アダム・ゴールドワーム 脚本:アンドレ・ファブリツィオ、ジェレミー・パスモア 撮影:ヤロン・レヴィ プロダクションデザイン:ネイト・ジョーンズ 衣装デザイン:カミーユ・ジュメール 編集:リック・シェイン 音楽:ザ・ニュートン・ブラザーズ
出演:ジェイソン・パトリック、ブルース・ウィリス、ジョン・キューザック、Rain(ピ)、ジェシカ・ロウンズ、ジョナサン・シェック、ジーア・マンテーニャ、カーティス・"50 Cent"・ジャクソン

 主役のジェイソン・パトリックは久しぶりに見るな。ジョン・キューザック目当てで観たのだが、出番はほとんどなくゲスト出演扱い。ボスキャラのブルース・ウィリスも出番が少ない。
 ミシシッピ州で車の整備工をやっているジェイソン・パトリックの娘が、大学の下宿先から行方不明になる。どうやら麻薬のトラブルに巻き込まれているようだ。娘を救うためにニューオリンズに向かうジェイソン・パトリックだが、どうやらこの地では何らかの過去がある様子。そして次第に浮かび上がってくる伝説の殺し屋"プリンス"とは。
 ストーリーは単純。ジェイソン・パトリックから自由になった娘が羽目を外しすぎてタチの悪い売人に捕まってしまう。ジェイソン・パトリックは売人の元に乗り込むが、ニューオリンズには彼に妻子を殺された恨みを持つブルース・ウィリスがいて手下のオカマ顔Rain(ピ)を使って復讐を果たそうとする。
 ジェイソン・パトリックはかつての仲間ジョン・キューザックの力を借りて、ブルース・ウィリスに挑む。
 復讐劇なのになかなか盛り上がってくれないなと思ったら、終盤のリアルな銃撃戦でやっと持ち直した感じ。ブルース・ウィリスもジョン・キューザックも何でこんな映画に出たのやら。劇場公開作品と言うよりDVDスルー程度の出来だな。しかし、ジョン・キューザックもオジサンになったねぇ。
 取りあえず娘の教育はシングルファザーとはいえちゃんとしておけよ。

『ブロブ/宇宙からの不明物体』 さざ波

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『ブロブ/宇宙からの不明物体』 (1988) THE BLOB 95分 アメリカ TRI STAR PICTURES

監督:チャック・ラッセル 製作:ジャック・H・ハリス、エリオット・カストナー 脚本:チャック・ラッセル、フランク・ダラボン 撮影:マーク・アーウィン 音楽:マイケル・ホーニッグ
出演:ケヴィン・ディロン、ショウニー・スミス、ドノヴァン・リーチ、リッキー・ポール・ゴールディン、ビリー・ベック、キャンディ・クラーク、ジョー・セネカ、エリカ・エレニアック、アート・ラフルー、ボー・ビリングスリー、ジュリー・マッカロー、ポール・マクレーン、ジェイミソン・ニューランダー、デル・クローズ、ジェフリー・デマン、シャロン・スペルマン、ジャック・レイダー、ロバート・アクセルロッド、ビル・モーズリイ、フランク・コリソン、マイケル・ケンワーシー、ジャック・ナンス、ダグラス・エマーソン

『マックイーンの絶対の危機』(1958)のリメイク。DVDソフト化を待っていたがようやく出た。ただし、ビデオ・オン・デマンド方式で片面二層のDVD-R仕様なため再生するデッキによっては不具合が出るそうだ。うちのPS3ではばっちり再生できた。画質はあまり良くないな。
 とにかく伏線が張り巡らされた脚本がよく出来ている。フランク・ダラボンは嫌いだが、この作品だけは認めている。そして後半に向かって増してくるアクションの迫力!
 山地にある小さな町。農業と冬のスキーで成り立っているのだが、ここ二年は雪が少なかった。時は10月で冬に向けてスノーメーカーの整備などが行われていた。
 その郊外に隕石が落ちてくる。ホームレスの老人がその隕石に近づいたところ、アメーバー状の物体に襲われ右手に取り付いてしまう。パニック状態になったその老人を見つけたのが不良少年のケヴィン・ディロン。走り出した老人を追ううちに、道路で老人はアメフトの選手とチアリーダーのショウニー・スミスが乗った車に接触してしまう。慌てて病院に担ぎ込むが、大した怪我ではないと放置状態。そうか、不良少年とアメフト選手がチアリーダーを巡って三角関係になりながら物語が展開するのかと思ったら、そのアメフト選手が強大化したアメーバー・ブロブに食われてしまう。これには驚いた。
 さらに巨大化し町を襲うブロブには銃の弾も効かない。どうやって倒すのか? どうやら弱点は寒さらしいのだが。ここでスノーメーカーが伏線だったことに気づく。
 政府の隕石対策チームが来るのだが、隕石と言えば一日にいくつも落ちるのになぜ今回に限り来たのだろうか。しかも、その対応が早すぎる。そして浮かび上がってくる宇宙で細菌兵器を作るという政府の陰謀。まだ冷戦の時代だったのだ。
 掟破りの子供殺しまでやってしまって、後はペットの犬を殺していれば完璧だった。ホラー映画を上映中の映画館がブロブに襲われ、映画のネタばらしをするマナー違反な男が最初に餌食になるのには笑った。下水の中に逃げ込んだケヴィン・ディロンたちがマンホールから出ようとして、悪の科学者に出口をバンでふさがれ、「見てろよ」と携帯バズーカで吹き飛ばすシーンとか燃えたなぁ。
 最終的には10メートル以上に巨大となったブロブは、まだCGにそれだけの表現力がなかった時代なので、ミニチュアを光学合成したもの。当時のレベルとしてはかなり高い。
 最初はお荷物に思われたチアリーダーが最後には戦士となっていく格好良さ。ケヴィン・ディロンもバイクアクションなどで頑張っているが、ラストは彼女に持っていかれたな。ちなみにケヴィン・ディロンはマット・ディロンの実弟で顔も似ている。その後どこに行ったのかなと思ったら『ポセイドン』(2006)で久々に見たな。ショウニー・スミスもなんだかんだで映画界に生き残っている。この2人が主役であとは知った俳優も少なく、大して期待していなかったが、観終わったら興奮して映画のサークルで「観に行け、観に行け」と薦めまくった。
 最後にはホラー映画らしいオチがついているのも嬉しい。
 どうせここまで待たされるのならば、Blu-rayで出して欲しかったな。無理か、そんなに売れんわな。アメリカではBlu-rayになってるから素材はあるので日本語字幕を入れるだけなんだが。坂上忍がケヴィン・ディロンを吹き替えたというTV放映版の音声も入れてくれれば完璧。

『ビッグケーヒル』 どうにもすっきりしない

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『ビッグケーヒル』 (1973) CAHILL U.S. MARSHAL 103分 アメリカ WARNER BROS. PICTURES

監督:アンドリュー・V・マクラグレン 製作:マイケル・ウェイン 原作:バーニー・スレイター 脚本:ハリー・ジュリアン・フィンク、リタ・M・フィンク 撮影:ジョセフ・バイロック 音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ジョン・ウェイン、ゲイリー・グライムズ、ネヴィル・ブランド、ジョージ・ケネディ、マリー・ウィンザー、クレイ・オブライエン、ローヤル・ダーノ、スコット・ウォーカー、ハリー・ケリー・Jr、ジャッキー・クーガン

 ジョン・ウェインが連邦保安官を演じた作品。ジョン・ウェインが保安官を演じているのって実は少ないんだよな。『リオ・ブラボー』と『勇気ある追跡』ぐらいかと。それにしてもアメリカの司法制度は複雑で、シェリフの保安官とUSマーシャルの連邦保安官とはどう違うのかよく分からない。
 ジョン・ウェインは妻を亡くしており、妻は死に際に「悪人たちを捕まえて」と言い残した。だからジョン・ウェインは2人の息子を人に預けて悪人を追う旅に出ていることが多かった。それが不満な息子たちはジョージ・ケネディら悪人と手を組んで銀行強盗をしてしまう。だが、偽装で保安官事務所の牢獄にいたことになっていたため犯人とは思われず、代わりに別の州で強盗をしてきた連中が誤認逮捕され、水曜の朝に絞首刑にされることになってしまう。
 息子たちは金を返して自首することに決めるが、それを許すジョージ・ケネディではなかった。
 これも晩年のジョン・ウェイン作品で、馬に乗るのに「よっこいしょ」と言っているようで寂しさを感じる。いい年の取り方をしたとは思うけどね。この時点ではすでにガンを発症しており、闘病しながらの撮影だった。最後まで戦ったんだよな、この人は。
 息子を放任しておいたことを反省し、これからは一緒に暮らそうというラストは一見よさそうだが、銀行強盗の罪はどうなったんだ。ジョン・ウェインの保護観察に入ることになったが、本来なら絞首刑にされる罪だろう。結局ジョン・ウェインに射殺されてしまうジョージ・ケネディたちも哀れだ。
 息子たちを絞首刑にするというわけにもいかないだろうが、もうちょっとすっきりしたラストは思いつかなかったものだろうか。
 この作品のジョン・ウェインはウィンチェスターライフルではなく水平二連式のショットガンを使用。あの大口径で狙われると怖いだろうなぁ。
 演出はアンドリュー・V・マクラグレンなんで水準以上のものは見せてくれる。ジョン・ウェインの案内役になるコマンチ族と白人のハーフであるネヴィル・ブランドが良い味を出している。

『エクソダス:神と王』 出エジプト記

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『エクソダス:神と王』 (2014) EXODUS: GODS AND KINGS 150分 アメリカ 20th CENTURY FOX、TSG ENTERTAINMENT、SCOTT FREE

監督:リドリー・スコット 製作:ピーター・チャーニン、リドリー・スコット、ジェンノ・トッピング、マイケル・シェイファー、マーク・ハッファム 脚本:アダム・クーパー、ビル・コラージュ、ジェフリー・ケイン、スティーヴン・ザイリアン 音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:クリスチャン・ベイル、ジョエル・エドガートン、ジョン・タートゥーロ、アーロン・ポール、ベン・メンデルソーン、シガーニー・ウィーヴァー、ベン・キングズレー、マリア・バルベルデ、ヒアム・アッバス、インディラ・ヴァルマ、ゴルシフテ・ファラハニ、アンドリュー・ターベット、ケヴォルク・マリキャン、ユエン・ブレムナー、ハッサン・マスード、タラ・フィッツジェラルド、ダール・サリム、ケン・ボーンズ、フィリップ・アルディッティ

 リドリー・スコットが製作総指揮をつとめた『ヘイロー:ナイトフォール』では外れたんで、監督作ではどうかなと予備知識をなしで観たのだが、タイトルに『エクソダス』とあるだけあってやはり出エジプト記ものだったか。要するに『十戒』だな。
 モーゼを演じるのはクリスチャン・ベイル。ホント芸達者な人だ。40万人のヘブライ人がエジプトで奴隷とした酷使されていて、モーゼはヘブライ人たちを率いて故郷を目指すことになる。
 もちろん、エジプト側もそう簡単には奴隷を手放そうとはしない。そこでヘブライ人の神は10の災いを起こす。蛙が大量に発生するなどはまだましで、ブヨの大量発生、疫病の流行、バッタの大量発生による食糧不足。そしてエジプト人の子供たちの一晩での大量死。
 これにはさすがにエジプト王も根を上げて、ヘブライ人たちに自由を与えるが、途中で気が変わり1000台の戦車でヘブライ人たちを殺すために追いかけてくる。モーゼたちは紅海の前で引き潮になるのを待っていた。水かさが減れば歩いて渡れるのだ。しかし、エジプト王たちが迫ってくる。
『十戒』(1956)では神は燃える柴に姿を変えてモーゼの前に現れたが、この作品では少年の姿を借りて現れる。ラストで十戒の石版を手に入れるのだが、チャールトン・ヘストン版では稲妻が石版に刻み込んでいったのに、この作品ではクリスチャン・ベイルが自分でのみを使って刻んでいるのが笑える。
 さすがリドリー・スコットだけあって序盤の戦闘シーンは迫力満点。
 それにしてもヘブライ人たちの神は勝手だよね。エジプト王がもう少し早く折れておけば良かったとはいえ、子供を皆殺しとは。西洋の神は自分の信者以外には容赦がないな。
『十戒』はスペクタル映画として観ることが出来たけど、こちらはリアル志向なのでキリスト教徒出ないと心底楽しめないかも。
 エンドロールの最初には「我が弟トニー・スコットに捧ぐ」と表示され、涙を誘う。なんで死んじゃったかなートニー・スコット。リドリー・スコットより正直好きだったのに。

『ヘイロー:ナイトフォール』 アクションなし

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『ヘイロー:ナイトフォール』 (2014) HALO: NIGHTFALL アメリカ 343INDUSTRIES、SCOTT FREE

製作総指揮:リドリー・スコット
出演:マイク・コルター、スティーヴン・ウォディントン、クリスティーナ・チョン

 マイクロソフトの人気アクションゲーム『HALO』の映像化と言うから、未来兵器で悪い宇宙人を相手にバンバンやってくれる娯楽映画かなと思ったら、これ劇場用作品じゃなくて、TVシリーズの総集編なんだね。
 いくら予算を使っているTVシリーズと言っても劇場用映画とは桁が違う。そこで悪い宇宙人コヴナントが出てくるのは冒頭だけ。セドラ星で人間だけを殺す元素兵器を実験して、多くの犠牲を出したもののコヴナントも殺されてしまう。
 そしてその元素が採れる人工惑星ヘイローに特殊部隊のONIとセドラ人の混合部隊が送られることになるが、ヘイローは恒星の近くにあって昼間は450度にもなり、夜の限られた時間しか行動できない。混合部隊は元素鉱脈を破壊することが出来るのか。
 ヘイローについたら兵士たちは装甲服に着替えていて、これが『エイリアン2』とそっくり。未来銃も登場し盛り上がってきたが、鉱脈で元素を採掘していた2人の悪人を捕らえたはいいものの、エネルギーを襲ってくる蛇ないしヒル状のハンターワームのせいで母船が墜落してしまう。エネルギーを使うので未来銃も使えずひたすらに逃げ回るばかり。
 谷底に墜落した母船に搭載されている核兵器で鉱脈を爆破する計画を思いつくが、ヘイローを逃げ出すには盗掘者が乗ってきた2人乗りの小型艇を使うしかない。つまり生き残るのは2人だけ。そこで様々な心理戦が繰り広げられる中、タイムリミットの夜明けが近づいてくる。
 地味な作品だな。心理戦も誰が最後まで生き残るのは途中で予測がついてしまうのであまりハラハラしないし、なによりアクションがない。敵のハンターワームが魅力的ならばまだ見せ場もあったろうが、集まってワラワラしているだけだしな。
 原作ゲームのファンならば楽しめるのか。いや、原作ゲームのファンだと余計に楽しめないような。
 心理劇ならば心理劇でしっかり描いてくれれば良いのだが、正直中途半端。

『大列車強盗』 5人の勇敢な男たち

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『大列車強盗』 (1972) THE TRAIN ROBBERS 92分 アメリカ WARNER BROS. PICTURES

監督:バート・ケネディ 製作:マイケル・ウェイン 脚本:バート・ケネディ 撮影:ウィリアム・H・クローシア 特殊効果:アルバート・ホイットロック 美術:アルフレッド・スウィーニー 編集:フランク・サンティロ 音楽:ドミニク・フロンティア
出演:ジョン・ウェイン、アン=マーグレット、ロッド・テイラー、ベン・ジョンソン、クリストファー・ジョージ、リカルド・モンタルバン、ボビー・ヴィントン、ジェリー・ガトリン

 ジョン・ウェインが列車強盗をやる話かと思ったら違った。いや、最後にはそうなるんだけど。
 砂嵐が舞う西部の駅で何かを待っている男。次々に男たちが現れ4人になる。そこに列車が到着し、ジョン・ウェインとアン=マーグレットが降りてくる。なんでも10年前に列車強盗をして50万ドルの金塊を盗みとある場所に隠したまま死んでしまった男がアン=マーグレットの夫で、アンは夫の死に際に金塊の隠し場所を聞いたというのだ。
 金塊を鉄道会社に返せば、5万ドルの賞金という綺麗な金が手に入る。そこでアンはジョン・ウェインらに金塊を取り戻すために護衛を頼んだのだ。だが、夫には7人の手下がいて、その手下が仲間を集め20人近くにもなって追いかけてくる。さらには葉巻を加えた謎の男も後を追ってくる。
 ダイナマイトを積んだラバを刑務所から仲間を脱獄させようとしている悪漢に奪われたり、アンが河で溺れたりと小さな危険はあったが、それ以上に追っ手の存在がのしかかってくる。
 金塊は「ここなら確かに誰にも見つからないだろう」というところに隠されていた。そして20人の追っ手が襲ってきた。銃撃戦が始まり、ジョン・ウェインたちは追っ手の数を減らして鉄道の駅を目指した。
 ジョン・ウェイン晩年の作品である。見た目にも太っていて、昔の颯爽とした姿は感じられない。年寄りなのでアンとのロマンスもそれを匂わせる程度で終わっていて、それよりもアンを守る5人の勇敢な男たちの物語となっている。
 ラストは駅のある町で数が減った追っ手との激しい銃撃戦。敵が火炎瓶を投げてくれば、こちらはダイナマイトを投げ返す。
 監督のバート・ケネディとは『戦う幌馬車』(1967)以来の組み合わせか。製作のマイケル・ウェインはジョン・ウェインの長男だそうだ。
 金塊とともに列車に乗ったアンにジョン・ウェインたちは「6歳の息子を抱えてあなたも生活が大変だろう」と分け前を与えてしまう。「いい話だなぁ」と思っていたら、実はどんでん返しが待っていた。
 バート・ケネディらしいテンポの良い娯楽西部劇で、ジョン・ウェインを上官に南北戦争で戦った3人のエピソードが男を感じさせる。アンはあまり魅力を引き出されていなかったのだが、最後のどんでん返しの伏線だったのかも知れない。

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『ゴッド・ギャンブラー レジェンド』 (2014) 賭城風雲 94分 中国/香港

監督:バリー・ウォン、ビリー・チュン 製作:アンドリュー・ラウ、コニー・ウォン 脚本:バリー・ウォン 撮影:チョウ・マンキョン、ン・マンチン 音楽:コンフォート・チャン、チェン・チーイー
出演:チョウ・ユンファ、ニコラス・ツェー、キミー・トン、チャップマン・トー、ガオ・フー、アニー・ウー、ホイ・シウホン、マックス・チャン、マイケル・ウォン、サミー・サム

 物語の中盤で、チョウ・ユンファから地和を上がったと思い込んだカールという男が叫ぶ。
「バリー・ウォンは天才監督だー!」
 しかも作中で世界中の暗黒街のボスたちを騙すサッカーの特殊映像もバリー・ウォンが撮ったという設定。どんだけ自分が好きなんだよ、バリー・ウォン。
 今作はチョウ・ユンファとニコラス・ツェーの二枚看板となっている。チョウ・ユンファはもちろん世界一の賭博の天才。ニコラス・ツェーはチョウ・ユンファの友人ベンツの息子で、前出のカールはその従兄弟。
 敵は世界的に資金洗浄を行っているDOAという大企業のボス。暗黒街のボスが集まった会合を右目をカメラ内蔵の義眼にしたニコラス・ツェーの兄が撮影に成功したが、仲間の裏切りで惨殺され義眼が行方不明になってしまう。
 それを知ったDOAのボスはベンツに自白剤を売って廃人にし、ニコラス・ツェーのことも狙ってくる。
 敵に捕まったチョウ・ユンファは、カードの表面を見ずに触っただけで数字を当てることを要求される。その数字が間違っているとチョウ・ユンファの娘が毒ガスで殺されてしまうのだ。麻雀の盲牌ならまだしもトランプを触っただけで本当に数字が分かるのか?
 ラスト、ベンツも徐々に回復し、チョウ・ユンファがニコラス・ツェーの師匠になってやると言ってくる。そこへ電話が鳴り、一人の男がチョコレートを食べながら「師匠になるのは俺だ」と入ってくる。その人物とは...正直このラストは意味不明。観客の度肝を抜かせたいだけだとしか思えない。
 トランプを武器として投げるチョウ・ユンファはさすがに皺が目立ってきた。1955年生まれだからもう60だ。バリー・ウォン脚本だけあって、チョウ・ユンファが初恋の美女に会いに行ったら太っちょのおばさんになっていたりとくだらないギャグも豊富である。それにしても先進分野のテクノロジーを生み出すのはもうアメリカではなくてインドなのな。1作目を観ていれば分かるネタだ。
 邦題で『ゴッド・ギャンブラー』となっている作品は11作あるが、正式なシリーズものとしてはこれが4作目。

『ボギー!俺も男だ』 カサブランカに愛をこめて

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『ボギー!俺も男だ』 (1972) PLAY IT AGAIN, SAM 89分 アメリカ PARAMOUNT PICTURES

監督:ハーバート・ロス 製作:アーサー・P・ジェイコブス、チャールズ・H・ジョフィ 脚本:ウディ・アレン 撮影:オーウェン・ロイズマン 音楽:ビリー・ゴールデンバーグ
出演:ウディ・アレン、ダイアン・キートン、トニー・ロバーツ、スーザン・アンスパッチ、ジェニファー・ソルト

 自身の脚本で監督・主演をつとめることが多いウディ・アレンには珍しくハーバート・ロスに監督を任せた作品。ハーバート・ロスの演出は悪くないんだが、ウディ・アレンがメガホンを取っていたらもっと面白かったかも。
 映画評論家のウディ・アレンは『カサブランカ』の大ファンで、オープニングでリバイバル上映を観て感極まっている。
 そんな彼は結婚して2年目の妻に逃げられてしまい、親友に女性を紹介してもらっているのだが、これがなかなか上手くいかない。するとウディ・アレンの前にハンフリー・ボガートの幻想が浮かび出て、あれこれアドバイスをしてくれる。
 そして親友の妻ダイアン・キートンと一夜を共にしてしまったウディ・アレンだが、そこにハンフリー・ボガートが現れ、「男の友情」について講釈する。ウディ・アレンは親友に真義を尽くすのか、それともダイアン・キートンを愛することにするのか。
 原題の『PLAY IT AGAIN, SAM』はピアノ弾きのサムにハンフリー・ボガートが言った台詞と言うことになっているが、『カサブランカ』ではそのような台詞は登場していなかった気がする。聞き損ねたのかも知れないが。
 ラストは『カサブランカ』のラストシーンを感じさせる作りになっていて、ファンには嬉しいだろう。

『カサブランカ』 時の過ぎゆくまま~As Time Goes By. ~

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『カサブランカ』 (1942) CASABLANCA 103分 アメリカ WARNER BROS. PICTURES

監督:マイケル・カーティス 製作:ハル・B・ウォリス 原作:マーレイ・バーネット、ジョアン・アリソン 脚本:ジュリアス・J・エプスタイン、フィリップ・G・エプスタイン、ハワード・コッチ 撮影:アーサー・エディソン 音楽:マックス・スタイナー
出演:ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、コンラート・ファイト、ピーター・ローレ、シドニー・グリーンストリート、ドゥーリイ・ウィルソン、モンテ・ブルー、マルセル・ダリオ

 名作扱いされているけど、第二次戦争中に作られた戦意高揚メロドラマとしか思えなかった。
 たしかにハンフリー・ボガートは渋いし、イングリット・バーグマンも綺麗だが、脚本が甘々でな。ナチスドイツがフランスを占領し、自由の国アメリカに行くためにフランス領モロッコにビザを求めて集まった人々。ある切っ掛けから最高位のビザを手に入れたハンフリー・ボガートの元にビザを求めて反戦活動家がやってくる。だが彼の妻はかつてハンフリー・ボガートと愛し合ったイングリット・バーグマンだった。
 有名な台詞「そんな過去のことは分からないな」「そんな先のことは分からない」は思っていたよりも大したことのない状況で使われている。「君の瞳に乾杯」は良いシチュエーションで使われているが。
 フランス警察の警察署長が良い味を出している。この人物の設定で作品の完成度を高めている。
 メロドラマとしては優れていると思うが、個人的には好みではないな。

『アンリミテッド』 パルクールでかっぱらえ

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『アンリミテッド』 (2015) TRACERS 94分 アメリカ

監督:ダニエル・ベンマヨール 製作:マーティ・ボーウェン、ウィク・ゴッドフリー、D・スコット・ランプキン 原案:T・J・スコット、ケヴィン・ランド、マット・ジョンソン 脚本:マット・ジョンソン 撮影:ネルソン・クラッグ プロダクションデザイン:ダン・リー 衣装デザイン:ジェニー・ゲーリング 編集:ピーター・アムンドソン 音楽:ルーカス・ビダル 音楽監修:ローラ・カッツ
出演:テイラー・ロートナー カム
マリー・アヴゲロプロス ニキ
アダム・レイナー ミラー
ラフィ・ガヴロン ディラン

 主演はロバート・ロドリゲスの『シャークボーイ&マグマガール』(2005)でシャークボーイを演じていたテイラー・ロートナーか。あの当時は少年だったがすっかり成長したな。
 題材としてはパルクール物で、自転車速達便をやっていたテイラー・ロートナーがある切っ掛けからパルクールにハマり、そしてパルクールを悪用した盗賊団に深みにはまっていくというストーリー。
 目玉のパルクールだが『YAMAKASHI』や『アルティメット』シリーズを見た後では見劣りがするし正直パッとしない。主演俳優らが肉体を張っているのは見所ではあるが、この出来ではな。
 テイラー・ロートナーが借金を抱えながら、最後まで手放そうとしなかった父とのも思い出の車をそれなりに上手く使っていたことぐらいは褒めれるか。