『ピーター・パン』(2003) 大人になんかならないよ

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『ピーター・パン』(2003) PETER PAN 113分 アメリカ COLUMBIA PICTURES

監督:P・J・ホーガン 製作:ルーシー・フィッシャー、パトリック・マコーミック、ダグラス・ウィック 製作総指揮:モハメド・アル=ファイド、ゲイル・ライオン、ジョスリン・ムーアハウス 原作:J・M・バリー 脚本:P・J・ホーガン、マイケル・ゴールデンバーグ 撮影:ドナルド・マカルパイン プロダクションデザイン:ロジャー・フォード 衣装デザイン:ジャネット・パターソン 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ジェレミー・サンプター、ジェイソン・アイザックス、レイチェル・ハード=ウッド、リュディヴィーヌ・サニエ、オリヴィア・ウィリアムズ、リチャード・ブライアーズ、リン・レッドグレーヴ、カースン・グレイ、ジェフリー・パーマー、ハリー・ニューウェル、フレディ・ポップルウェル、セオドア・チェスター、ハリー・イーデン、ラクラン・グーチ、パトリック・グーチ、ジョージ・マッケイ、ルパート・シモニアン

 オープニングに表示されるのはコロンビア映画ロゴだが、エンドロール後にユニバーサル映画とレボリューション・スタジオのロゴも出てくる。三社共同で作られたのか? でもそれなら普通はオープニングに三社とも出てくるよな。よく分からん。
 2003年製作でピーター・パンたちのフライングシーンにはワイヤーアクションをCG合成して表現しているのだが、このCG合成の出来が悪くて合成ラインが目立つ。被写体と背景の画質が合っていないんだな。予算が少ないのかも知れないが興ざめだ。
 ジェレミー・サンプターのピーター・パンはこまっしゃくれた笑顔が1953年のディズニーアニメを思い出させてはまり役。フック船長役のジェイソン・アイザックスは『ハリー・ポッター』シリーズでマルフォイ先生役を演じた人でもう少し年上の方が個人的には合っていそうだが、ウェンディーたちの父親役を兼任しているのでこういう配役なのだろう。父はウェンディーを一人部屋に移そうとしているので、フック船長として登場することで子供が親を乗り越える成長物語の側面もあるのか? でも、冒険を経ても子供たちは成長していないと思うんだが。
 今作では原作を読んだ記憶通りティンカー・ベルがピーター・パンのために死にかける。ディズニー版と同じく喋らずボディランゲージのみのティンクなのだが演じているリュディヴィーヌ・サニエが魅力的に描けておらず、もったいない使われ方をされている。
 インディアンは酋長の娘タイガー・リリーのみが登場だが、どうみても白人の女の子。その代わりに人魚たちはアジア系の女性。でも不気味な存在なのだ。
 ピーター・パンの手下である迷子たちの中にはトゥートルズという少年がいるが、彼は『フック』(1991)でビー玉を探していた呆けたジイさんだな。
 ディズニー版ではフック船長の義手は左手だったが、今作では右手。『フック』ではどっちだったっけ?
 ワニのCGはそれなり。体毛がないので『イレイザー』(1996)ですでにちゃんと表現されていたから褒めるほどではないな。
 母親が行方不明になったウェンディーたちを待って子供部屋の窓を開けたままにしている描写があるので、冒険は数日間に及んだ様子。今作ではウェンディじゃなくてウェンディーと伸ばす字幕になっている。

『ピーター・パン』(1953) ネバーランドへようこそ

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『ピーター・パン』(1953) PETER PAN 77分 アメリカ RKO RADIO PICTURES、WALT DISNEY PRODUCTION

監督:ハミルトン・ラスケ、クライド・ジェロニミ、ウィルフレッド・ジャクソン 製作:ウォルト・ディズニー 原作:ジェームズ・M・バリー 脚本:テッド・シアーズ、アードマン・ペナー、ウィンストン・ヒブラー、ビル・ピート、ジョー・リナルディ、ラルフ・ライト 音楽:オリヴァー・ウォーレス
声の出演:ボビー・ドリスコール、キャサリン・ボーモンド、ハンス・コンリード、ポール・コリンズ、トミー・ラスク、ビル・トンプソン
ナレーター: トム・コンウェイ

 まずRKOラジオのロゴが表示されたので驚いた。まだこの頃のディズニーは自社配給ではなく他社の配給網を使っていたのか。
 日本のTVアニメは1秒間に8枚の絵を使ったリミテッド・アニメが基本だが、ディズニーは1秒24枚のフルアニメ。だからヌルヌル動くぞ。しかし、1953年作品なのに4:3のスタンダード画面なのはちょっと残念だ。
 物語は知っている人が多いだろうが、もう思春期を迎えつつあり翌晩から弟たちと同じ子供部屋ではなく一人部屋に移されることになったウエンディの元にピーター・パンが現れる。先日、開いている窓から子供部屋にやって来た時に乳母犬のナナに影を取られてしまい、それを奪い返しに来たのだ。そしてピーター・パンから逃げようとする影をウェンディが足元に縫い付けてくれる。そのお返しに、ピーター・パンはウェンディと二人の弟をネバーランドへ連れて行ってくれる。そして冒険が始まった。
 子供の頃に原作の児童文学を読んでいる。ほとんど記憶にないが、そちらでは妖精のティンカー・ベルがフック船長からピーター・パンを守るために死んでしまい、ピーター・パンが読者の子供たちに訴えかけるシーンがあったはず。だが、53年のアニメ版ではティンカー・ベルは死なない。ラストではワニに喰われてしまうはずのフック船長も、ワニに飲み込まれそうになりながら海の彼方に退場していくので、意図的に死を画面から追い出したのだろう。ウォルト・ディズニーらしいといえばディズニーらしい。是非はあるけどな。
 真っ赤な肌のインディアンが登場するなどこの作品も現在のアメリカでは扱いがヤバいのかね。人喰い人種は地図上の名前として登場するだけで姿は出てこないのがまだ救いか。
 良い子ちゃんのウェンディよりも嫉妬深い部分があるティンカー・ベルの方が可愛らしい。『フック』(1991)ではジュリア・ロバーツが演じたためセリフがあるが、こちらのティンクは言葉を発せずボディランゲージで話す。
 ピーター・パンはこまっしゃくれた笑顔が特徴で、フック船長の左手首を切り落として巨大なワニに喰わせてしまった悪ガキ。おかげでフック船長はワニに狙われ続けている。ワニは時計を飲み込んでいるので、近づいてくるとその音が「チクタク、チクタク」と鳴り響く。誰もネジを巻いていないのに動き続ける不思議時計。
 フック船長の日本語吹替は大塚周夫。『チキチキマシーン猛レース』のブラック魔王的な小悪党演技。『ゲゲゲの鬼太郎』のネズミ男などこの手の役が相変わらず上手い。それでいてチャールズ・ブロンソンもやるんだから芸風が広い。ピーター・パンは『AKIRA』の主人公金田の人だ。
 かなりの大冒険なんだが、実は両親がパーティーに行っている間の数時間の出来事。

『パルス・ショック』 恐怖、電化製品の襲撃!

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『パルス・ショック』(1988) PULSE 91分 アメリカ COLUMBIA PICTURES

監督:ポール・ゴールディング 製作:パトリシア・スタローン 脚本:ポール・ゴールディング 撮影:ピーター・ライオンズ・コリスター 音楽:ジェイ・ファーガソン
出演:ジョーイ・ローレンス、クリフ・デ・ヤング、ロクサーヌ・ハート、チャールズ・タイナー

『ショッカー』(1989)と記憶の中でごっちゃになっていたのがこの『パルス・ショック』。電気が人間に牙を剥くというホラー映画で、『ショッカー』の作中で殺人鬼ピンカーが電気になってマッサージチェアに化けていたところが混乱の元だったようだ。
 TVやディスポーザーなどの色んな電化製品が人間に対して牙を剥くのだが、全体的に中途半端であまり怖くない。主人公は小学高学年ぐらいの少年なんでファミリー向けホラーなのかな。
 電化製品が襲っているところはある程度覚えていたのだが、映画の基本ストーリーはすっかり忘れていた。それもそのはず、何故電気が人間の敵になったかが描かれていないのだ。オープニングで変電所の近くに落雷があるがそのせいなのか?
 殺人鬼的悪役の電気に背景がないので印象に残らない。黒魔術のせいとか電気椅子で死刑になった凶悪犯が電気に入り込んだなどの設定があればもう少しのめり込めると思う。
 電化製品が動くのは無理矢理納得するとして、モーターもついていないガスの元栓などが勝手に開くのは何故なんだろう。
 離婚した父の後妻が主人公のために借りてきたビデオがジョン・カーペンターの『スターマン』(1984)だったのが個人的にウケた。カーペンター作品の中では数少ない家族で観られる作品だ。
 映画そのものよりも、エンドロールの夜の街並みが電機製品の基盤になっていく映像の方が面白いのかも知れない。
 電気の叛逆にいち早く気付き、電気を捨て薪と灯油ランプを使って山奥で暮らすことにした老人が良い味を出している。どことなく諸星大二郎の短編コミック『生物都市』(1974)のラストを思い出した。
 製作はパトリシア・スタローンという人だが、調べた限りではシルヴェスター・スタローンとは関係ないようだ。

『呪いの深海獣』 深海の宇宙人

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『呪いの深海獣』(1966) DESTINATION INNER SPACE 81分 アメリカ

監督:フランシス・D・ライオン 製作:アール・ライオン 製作総指揮:フレッド・ジョーダン 脚本:アーサー・C・ピアース 撮影:ブリック・マークァード 音楽:ポール・ダンラップ
出演:スコット・ブラディ、シェリー・ノース、ゲイリー・メリル、ウェンディ・ワグナー、マイク・ロード、ジョン・ハワード、ウィリアム・ソールビー、ビフ・エリオット、ジェームズ・ホン

 日本未公開作品だが、未公開もやむなしといったつまらなさ。観てるこっちに呪いがかかる。
 見せ場は深海獣スーツの造形だが、ウルトラマンの怪獣着ぐるみぐらいの出来。背中が出っ張っているのは水中撮影時の空気ボンベが入っているのだろう。
 1000円台のDVDとはいえ画質が死ぬほど悪い。リマスター版となっているがどういうことかと思ったら、パッケージには「アナログリマスター」と書いてある。デジタルリマスターというのはよく聞くが、アナログリマスターというのもあるのか。ビデオテープをDVDに焼いておいた物が手元にあるが、その程度の画質。内容にあった画質と言えなくもない。
 深海獣の正体は宇宙からやって来た宇宙人。人間側は深海にある宇宙船を爆破しておいて、ラストには「宇宙人と意思の疎通が出来るかも知れない」と虫の良いことを言って締めくくる。
 いい加減な脚本にダラダラとした演出。やかましいだけのおどろおどろしい音楽。海底基地の中国系コックがジェームズ・ホンだったのが個人的には唯一の収穫。コックは肩にインコだかオウムだかを乗せているのだが、『ディープ・ブルー』(1999)の黒人コックLL・クール・Jはこれが元ネタか? (まさか)

『ショッカー』 テレビの中から殺人鬼

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『ショッカー』(1989) SHOCKER 110分 アメリカ UNIVERSAL PICTURES

監督:ウェス・クレイヴン 製作総指揮:シェップ・ゴードン、ウェス・クレイヴン 脚本:ウェス・クレイヴン 撮影:ジャック・ヘイトキン 音楽:ウィリアム・ゴールドスタイン
出演:マイケル・マーフィ、ミッチ・ピレッジ、ジョン・テッシュ、ヘザー・ランゲンカンプ、ピーター・バーグ、ジェシカ・クレイヴン、カミ・クーパー、リチャード・ブルックス、サム・スカーバー、セオドア・ライミ(テッド・ライミ)

 1990年の公開以来、久しぶりに観た。『パルス・ショック』(1988)とごっちゃになっていたのだが、ようやく切り分けが出来た。『ショッカー』の連続殺人鬼ピンカーは電気になってマッサージチェアの中に潜り込んだりTV番組に登場したりする。『パルス・ショック』は電化製品が襲って来る話。
 主人公は大学のアメフトスター選手。ハンサムで美人のガールフレンドもいる。共感出来ない主人公だなと思っていたら、父親以外の家族やガールフレンドがピンカーに殺されてしまう。そして養子である自分の実の父親が判明する。
 主人公が夢の中でピンカーの殺人現場を目撃するシーンは通りを横切っていった子供たちが消えてしまうなど同じウェス・クレイヴン作品の『エルム街の悪夢』(1984)を思わせる部分がある。
 主人公の夢を手がかりに逮捕され電気椅子で処刑されたピンカーだが、その前に黒魔術儀式を行っていたので人から人へと乗り移ることが可能になる。この辺りはデンゼル・ワシントンの『悪魔を憐れむ歌』(1997)風味。『悪魔を憐れむ歌』がパクったのかな。
 記憶では早い段階でテレビの中に入り込むと思っていたのだが、それは後半になってから。鳥のドキュメンタリー番組にナレーターをやっつけて現れ、主人公と一緒に色んなTV番組の中に登場する。戦場ドキュメンタリーや映画の中、宗教の募金番組など。「TV番組の中にピンカーと主人公が映っています」と速報を流しているニュース番組の中に現れるところが個人的に一番ツボ。
 主人公一家がTVの中に閉じこめられて、ゾンビが登場する『ウェインズ・ワールド』のパロディ番組などを彷徨うピーター・ハイアムズ監督作『カウチポテト・アドベンチャー』(1992)を思い出した。観客がほとんどいない映画館で観たな。しかし、ピーター・ハイアムズも何でも撮る人だ。『ショッカー』もTV番組の中からピンカーが現れるというアイディアをもっと活かせたんじゃないだろうか。主人公が逃げようとしてもどこに行ってもTVがあるといったパターンなんてどうだろう。
 出演者の中にいるジェシカ・クレイヴンというのはウェス・クレイヴンの娘だそうだ。誰だか分からないんだが、自転車に乗った女の子かな?
 テッド・ライミはサム・ライミの弟。眼鏡をかけたアメフト部のマネージャーでピンカーに惨殺されてしまう。言われてみればサム・ライミに似ているような似てないような。
 まさか今さらDVDになるとは思っていなかった。ラストはこんなにしんみりした作品だったんだ。

『ハムレット』 そしてみんな死ぬ

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『ハムレット』(1990) HAMLET 134分 アメリカ CAROLCO INTERNATIONAL

監督:フランコ・ゼフィレッリ 製作:ディソン・ラベル 製作総指揮:ブルース・ダヴィー 原作:ウィリアム・シェイクスピア 脚本:クリストファー・デヴォア、フランコ・ゼフィレッリ 撮影:デヴィッド・ワトキン 音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:メル・ギブソン、グレン・クローズ、アラン・ベイツ、ポール・スコフィールド、イアン・ホルム、ヘレナ・ボナム=カーター、スティーヴン・ディレイン、ナサニエル・パーカー、ショーン・マーレイ、マイケル・マロニー、ピート・ポスルスウェイト

 メル・ギブソンがタイトルロールであるハムレットを演じている。「生きるべきか死ぬべきか」とか言う前に父王を毒殺した叔父をぶち殺しそうな気がするが、『マッドマックス』(1979)や『リーサル・ウェポン』(1987)では愛する人を失い苦悩する役を演じていたのでそれほど無茶な配役でもないのか。
 でも1956年生まれのメル・ギブソンが青年役というのはちょっと無理があるが。母親のグレン・クローズ(1947年生まれ)と実年齢は10歳も違わない。
 父王が亡霊となってハムレットに復讐を誓わせたため、主要登場人物が全員死んでしまう惨事となる。素直に墓穴に埋まっていれば良いのに、父王も余計なことをしたものだ。
「生きるべきか死ぬべきか」は有名なセリフだが、「尼寺に行け」もハムレットだったのか。ハムレット、ハムとカツレツを合わせたような名前で何か美味そうだ。美味そうな名と言えば大臣のイアン・ホルムの息子がレアティーズというのだが、「レアチーズという美味そうな名前があったので『ハムレット』を覚えていた」というのは川原泉の『笑う大天使(ミカエル)』だったけ? ずいぶん前に読んだきりだから不確か情報。『笑う大天使』は2005年に実写映画化されているが、これぞ原作レイプと言うべき超駄作だった。
 少女マンガ原作に谷垣健治指導によるアクションは浮いていたし、広川太一郎のナレーションは無駄遣い。原作は面白いんだけどね。
『ハムレット』はシェークスピアの有名原作だけあって10回近く映画化されている。
 1996年にはハムレット好きのケネス・ブラナーが監督・主演で撮っているのか。こちらも観てみたい。原作を一切省略していないそうなので、243分もあるが。

『RV』 家族再生の旅

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『RV』(2006) RV 99分 アメリカ COLUMBIA PICTURES

監督:バリー・ソネンフェルド 製作:ルーシー・フィッシャー、ダグラス・ウィック 製作総指揮:ボビー・コーエン、グレアム・プレイス、ライアン・カヴァナー 脚本:ジェフ・ロドキー 撮影:フレッド・マーフィ 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ロビン・ウィリアムズ、シェリル・ハインズ、ジョアンナ・"ジョジョ"・レヴェスク、ジョシュ・ハッチャーソン、ジェフ・ダニエルズ、クリスティン・チェノウェス、ハンター・パリッシュ、ウィル・アーネット、トニー・ヘイル、ブライアン・ホウ、リチャード・コックス、ロブ・ラベル、ブライアン・マーキンソン、キルステン・ウィリアムソン、ブレンダン・フレッチャー、マシュー・グレイ・ガブラー

 ラジー賞のワースト・ファミリー映画賞を受賞している。ラジー賞はダメ映画に与えられる賞だが、単なる駄作ではなく愛すべきダメ映画に与えられる賞だと思っている。この作品もウンコ噴水ネタとかが登場するので人を選ぶところがあるが、心がバラバラになった家族がRV(キャンピングカー)でコロラドまで旅することで再生される物語である。
 仕事に追われている父親という役は『フック』(1991)と似ているが、当時は衣装に詰め物をすることで中年太りを表現していたのに、今回のロビン・ウィリアムズは素のままでちょっとお腹が出ている。
 小さい頃は懐いてくれていた娘もティーンエイジとなって今では反抗期。赤ん坊だった息子は13歳になり筋トレに励んでいる。愛し合っていた妻とも若干倦怠期気味。そんな一家はハワイ旅行に行くはずだったが、ロビン・ウィリアムズが勤めている会社がコロラドの飲料水メーカーを買収することになりどうしてもコロラドに行かねばならない。そこでロビン・ウィリアムズは家族に嘘をついてRVでコロラドまで旅行することにする。
 だが慣れないRVでの旅はトラブル続き。そんなトラブルを乗り越えることで家族は絆を取り戻す。
 家族が再生されるところが唐突な感がある。重要な部分なのでじっくり描いて欲しかったところだが、99分のコメディなのでしょうがないか。
 RVに暮らして旅を続けている一家が登場する。こちらの一家は結束が固く、ロビン・ウィリアムズ一家とは対照的。父親役のジェフ・ダニエルズは儲け役。
 ソニー資本のコロンビア作品なので使われているノートパソコンはVAIO。しかし、ロビン・ウィリアムズのノートパソコンには大きなステッカーが貼られていてVAIOのロゴが見えない。これでは宣伝にならないではないかと思ったらちゃんと意味があった。
 ラストはキレイに締めて終わりかと思ったらコメディらしくオチがある。そのオチのために前半からちゃんとネタが振られている。
 監督は『メン・イン・ブラック』シリーズなどのバリー・ソネンフィルド。日本未公開でDVD発売のみなのは日本でのロビン・ウィリアムズ人気が落ちていたせいか。

『フック』 大人になったピーターパン

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『フック』(1991) HOOK 142分 アメリカ TRI STAR PICTURES、AMBLIN ENTERTAINMENT

監督:スティーヴン・スピルバーグ 製作:キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、ジェラルド・R・モーレン 製作総指揮:ジム・V・ハート 原作:J・M・バリー 原案:ジム・V・ハート、ニック・キャッスル 脚本:ジム・V・ハート、マライア・スコッチ・マルモ 撮影:ディーン・カンディ 特撮:ILM 作詞:レスリー・ブリッカス 音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ロビン・ウィリアムズ、ダスティン・ホフマン、ジュリア・ロバーツ、ボブ・ホスキンス、マギー・スミス、キャロライン・グッドオール、チャーリー・コースモー、アンバー・スコット、ダンテ・バスコ、ジェームズ・マディオ、ルシャン・ハモンド、イサイア・ロビンソン、フィル・コリンズ、デヴィッド・クロスビー、グレン・クローズ、グウィネス・パルトロー、ロバーツ・ブロッサム

 大人になりピーターパンだった頃の記憶を無くしてしまった仕事人間がロビン・ウィリアムズ。そんな彼が子供をフック船長(ダスティン・ホフマン)にさらわれ、再びネバーランドに帰って自分を取り戻す。
 年を取っても子供心を忘れないスティーヴン・スピルバーグがノリノリで撮ったと思われる。ノリ過ぎて正直悪ノリである。
 142分という上映時間を感じさせないが、逆に言えば120分以内でまとめられる内容だ。過去を忘れて空も飛べなくなった中年太りのピーターパンが復活するのが見所だと思うのだが、その辺りがあまり描けていない。
 終盤の海賊たちとピーターパン&ネバーランドの迷子たちの戦いが反発する少年グループ同士のようで面白いのだが、それだったら迷子たちのリーダーを殺してはいけない。フック船長は死ぬ姿を見せずに消してしまう。だったらリーダーはせめて最後に生き返らせてあげても良かったのではないだろうか。
 仕事に追われて子供たちのことに目が行っていなかったピーターパンが親子の絆を取り戻すが、同じテーマならば『RV』(2006)の方が好み。
 ダスティン・ホフマンもノリノリで悪役を演じているが、手下のボブ・ホスキンスの方が印象に残っている。彼ももう亡くなってしまったんだよな。

『ジュマンジ』 リアル双六

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『ジュマンジ』(1995) JUMANJI 104分 アメリカ TRI STAR PICTURES

監督:ジョー・ジョンストン 製作:スコット・クルーフ、ウィリアム・ティートラー 製作総指揮:テッド・フィールド、ラリー・J・フランコ、ロバート・W・コート 原作:クリス・ヴァン・オールズバーグ 脚本:ジョナサン・ヘンズリー、グレッグ・テイラー、ジム・ストレイン 撮影:トーマス・E・アッカーマン 特撮:ILM 編集:ロバート・ダルヴァ 音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:ロビン・ウィリアムズ、ジョナサン・ハイド、キルステン・ダンスト、ブラッドリー・ピアース、ボニー・ハント、ビービー・ニューワース、デヴィッド・アラン・グリア、アダム・ハン=バード、ローラ・ベル・バンディ

 100年前に埋められた"ジュマンジ"というボードゲームをいじめられっ子の少年が見つける。だがそれはとまったコマの指示内容が実際に起きてしまう怖ろしいゲームだった。少年はジャングルに閉じこめられたまま30数年が過ぎ、事故で両親を失った姉弟がジュマンジを偶然にプレイしたことで大人になって帰ってきた。
 だが、誰かがゴールするまでジュマンジは終わらない。
 ジョー・ジョンストンらしいテンポで見せてくれる作品。ロビン・ウィリアムズはジャングルに閉じこめられていた元少年を演じている。
 ジュマンジの中から獣たちが現れるシーンはCGやアニマトロニクスで再現されている。20年近く前の作品なので、CGは今観るとちょっと古くさい。象やサイなどの体毛のない動物はそれほど違和感がないのだが、猿やライオンは難しかったのだろう。
 子供のまま大人になった役はロビン・ウィリアムズに合っている。でも今になって思うとこのハイテンションぶりは躁状態だったりコカインの力を借りていたのだろうか。
 基本的にはジュマンジの設定に頼った作品であまり内容はない。ロビン・ウィリアムズの人間的成長という面はもっと活かせたように思う。
 ラストのエピローグによってハッピーエンドとなるが、取って付けたような印象が強い。

『いまを生きる』 死せる詩人の会

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『いまを生きる』(1989) DEAD POETS SOCIETY 128分 アメリカ TOUCHSTONE PICTURES

監督:ピーター・ウィアー 製作:スティーヴン・ハーフ、ポール・ユンガー・ウィット、トニー・トーマス 脚本:トム・シュルマン 撮影:ジョン・シール 編集:ウィリアム・アンダーソン 音楽:モーリス・ジャール
出演:ロビン・ウィリアムズ、イーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レナード、ジョシュ・チャールズ、ゲイル・ハンセン、ディラン・カスマン、アレロン・ルッジェロ、ジェームズ・ウォーターストン、ノーマン・ロイド、カートウッド・スミス、ララ・フリン・ボイル

 ロビン・ウィリアムズの自殺をある程度心を落ち着けて考えられるようになったので、出演作を観返すことにする。鬱病というのは精神的に健康な人には分からないつらさがあると言うから彼の自殺についてあれこれいう気はないが、アルコールや薬物などに逃げることでなんとか自分を誤魔化していたのだろうが、最後には追いつめられてしまったのか。人を笑わせるのが好きな人だったが、そういう人ほど繊細だったりする。
『いまを生きる』はロビン・ウィリアムズやイーサン・ホーク、そしてカートウッド・スミスなどの出演者の演技は良いのだが、脚本が致命的なまでに浅く、しかもピーター・ウィアーの演出がいつものように生ぬるい。ピーター・ウィアー監督作で気に入っているのは『刑事ジョン・ブック 目撃者』(1985)ぐらいかな。『トゥルーマン・ショー』(1989)はジム・キャリーとリチャード・ハリスにかなり助けられていたし。
 とにかく国語(アメリカが舞台なのでこの場合は英語)を教えに全寮制の進学校に赴任してきたロビン・ウィリアムズがあっというまに生徒たちの心を掴んでしまうのだが、その辺りが描かれていないので「何故? ねぇなんでそんな先生に魅力を感じるの?」と疑問でしょうがない。堅苦しい男子校で、型破りな授業をするロビン・ウィリアムズが生徒の心を引きつけたのだろうが、そこはもっとちゃんと描いてくれないと、後々の説得力がない。
 ロビン・ウィリアムズはその学校の卒業生で、彼が在学中に行っていた詩のサークル"死せる詩人の会"を復活させて、深夜に寮を抜け出し洞穴で詩を朗読するようになるのだが、それもいかにも唐突。
 医者になるべく勉強をしていたカートウッド・スミスの息子が、演劇に憧れて『真夏の夜の夢』の主役となり、父親や校長に隠れて稽古を詰み本番に臨むのだが、父親にバレて士官学校に転校させられることとなる。どうなるのかと思ったらいきなり拳銃で自殺。いくら多感な時期でも反応が敏感すぎるだろ。このことをきっかけにした事件でラストの感動させるシーンに持ち込むのだが、無理矢理無理矢理。初めて観たのは大学時代だったが、すっかりシラケていた。
 演劇少年の性格やその情熱、それを父親から頭から否定されてしまい行き場を失って死を選ぶという行動を取ることについての説得力が欠けている。「人が死にました。はい感動してください」と言われて簡単に感動するほど素直じゃないんだ。
 俳優の演技に頼ってそこに至るまでの細かい描写の積み重ねや、それに説得力を持たせる演出がないのだ。人間ドラマ系の作品を撮るに当たって必要な資質が製作側に欠けているとしか言えない。
 コメディ系だけど『スクール・オブ・ロック』(2003)でのジャック・ブラックの偽教師のようなはじけ具合がロビン・ウィリアムズにあればいいんだけど、彼としてはかなり抑えめの演技なんだよな。生徒から「船長」と呼ばれるだけのカリスマが感じられない。あれじゃあせいぜい金八だ。
 主人公的立場の生徒イーサン・ホークが若いんだが、個人的にはその数年前に観ていた『エクスプロラーズ』(1985)の少年役が頭に残っていて、「あのガキが高校生になっている。成長した」と感じたのを思い出す。子役出身だとその後ダメになっていくパターンは多いが、(『エクスプロラーズ』で共演した三人組の内リヴァー・フェニックスは薬物の過剰摂取で死んだし。もう一人はそのまま消えてしまった)イーサン・ホークの場合は上手く育ってここだという華がない気もするが演技派としてやっている。
 個人的にはカートウッド・スミスの出演が嬉しいんだが、自殺した息子に駆け寄るシーンをスローモーションで撮るのは止めろ。な、ピーター・ウィアー。
 あえて褒めるところを見つけるならば、ラストの生徒たちが机の上に立ち上がるシーンで、全部の生徒を立たせなかったところかな。日本の映画やTVドラマだったら全員机の上に立たせているだろう。だからダメなんだって。
 脚本担当のトム・シュルマンは『ミクロキッズ』(1989)など良いホンも書いているんだが、資質に合っていないんじゃないだろうか。これでアカデミー脚本賞受賞は納得がいかない。かなり出来の悪い脚本だと思うんだが。
 全校集会でも100人ほどしか生徒がいないんだが、それでこの学校の経営は成り立っているのか? 学費がとてつもなく高いのかな。カートウッド・スミスはお金持ちでもないのに無理して息子を学校に入れていたみたいだし。親の期待が高すぎると子供に負担を与えるぞ。丈夫に育ってくれればそれで良いと育てれば、伸びる子は勝手に伸びていく。伸びない子は私のように勝手に落ちこぼれていくがな。
 二十歳の頃に観て駄作じゃんと思ったが、今になって観直してもやっぱり駄作じゃんだった。もう20年後に観てもやっぱり駄作じゃんと思うんだろう。