『マッドマックス2』 ヒューマンガス様

B00OBJ939A.jpg

『マッドマックス2』 (1981) MAD MAX 2、THE ROAD WARRIOR 96分 オーストラリア

監督:ジョージ・ミラー 製作:バイロン・ケネディ 脚本:テリー・ヘイズ、ジョージ・ミラー、ブライアン・ハナント 撮影:ディーン・セムラー 音楽:ブライアン・メイ
出演:メル・ギブソン、ブルース・スペンス、ヴァーノン・ウェルズ、マイケル・プレストン、ヴァージニア・ヘイ、エミル・ミンティ、マックス・フィップス、ケル・ニルソン

 前作からたった二年でメル・ギブソンが一気に渋くなった。左膝を狙撃されたため歩行補助具をつけているのだが、これが格好いい。二連式ショットガンを思いっきりソードオフしたマックスモデルの散弾銃が昔売っていたが、欲しかったなぁ。
 核戦争が起こり荒廃した世界観が観る者を引きずり込む。後々になって他の映画も観るようになると、核戦争後の世界は『少年と犬』(1975)などがあり、またSF小説では珍しくないのだが、オーストラリアの荒野はリアリティがあった。
 そこで荒くれどもがガソリンを欲して、製油所の周りにたむろしている。製油所の人間はそんな荒くれどもから火炎放射器やボウガンで自衛して脱出の機会を狙っている。しかし、そのためにはタンクローリーを引くトレーラーが必要だ。偶然、製油所にたどり着いたマックスは口数少なく、「俺がトレーラーを取ってきてやるから、インターセプターにガソリンを満タンにして返せ」と取引を持ちかける。
 とにかくこの世界観がなにより魅力がある。『北斗の拳』をパクったことでも有名。いや、逆だってば。モヒカンでヒャッハーした荒くれ者どもが実に個性的。『コマンドー』(1985)でシュワルツェネッガーの敵役ベネットも演じたヴァーノン・ウェルズの暴れぶりがイカす。
 そしてなにより荒くれ者どものリーダー・ヒューマンガス様がホッケーマスクにスキンヘッドで、頭の血管をピクピクさせている名キャラクター。でも意外に活躍しないんだよな。死に様は1作目のボスと同じだし。
 荒廃した世界の中で、オートジャイロを操るジャイロ・キャプテンと、金属製のブーメランでヴァーノン・ウェルズのホモの愛人を殺してしまう野生の少年が息をつかせてくれる。マックスが拾ったオルゴールを少年にくれてやるシーンは美しい。
 製油所側のリーダーが今ひとつ情けなかったり、美人の女戦士がマックスとロマンスになるわけでもなくあっけなく死んでしまうなど少々もったいない。もっとも、前作で妻子を亡くしたマックスはもうロマンスなど求めていないのだろうが。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)は正当な続編なのだろうか。だとしたらこの作品で爆発してしまったインターセプターの再登場はあるのだろうか。予告編には出てこないんだよな。
 しかし、あの勢いで空中から墜落したオートジャイロに載っていたジャイロ・キャプテンがピンピンしているのには驚いた。てっきり死んだと思ったんだが。
 マックスが缶入りのドッグフードを上手そうに食っているのに憧れ、コンビーフみたいなものかと真似してみたら、塩味がまるでなくかなり不味かったのは余談。

『マッドマックス』 V8搭載の黒いインターセプター

B00OBJ939A.jpg

『マッドマックス』 (1979) MAD MAX 94分 オーストラリア

監督:ジョージ・ミラー 製作:バイロン・ケネディ 脚本:ジェームズ・マッカウスランド、ジョージ・ミラー 撮影:デヴィッド・エグビー 音楽:ブライアン・メイ
出演:メル・ギブソン、ジョアンヌ・サミュエル、スティーヴ・ビズレー、ヒュー・キース=バーン、ティム・バーンズ、ロジャー・ウォード、ヴィンス・ギル、ジェフ・パリー、スティーヴ・ミリチャンプ、ジョン・リー、レッグ・エヴァンス、シーラ・フローランス、ジョナサン・ハーディ

 メル・ギブソンが若い!
 ジョージ・ミラーの監督デビュー作で、映画製作がさほど盛んではなかったオーストラリア映画ということもあって、演出、脚本、編集などには洗練されていない点が多々見受けられる。
 だが、それが逆に荒々しさに繋がり、暴走族と戦う警官たち、そしてその暴走族に妻子を殺されてしまった(いや、妻は辛うじて生きてたんだったか)マックスの怒りを露わにしている。
 いきなり暴走族の一人ナイトライダーがパトカーを盗んで暴走しているシーンから始まる。パトカーが何台も追いかけるが、V8に乗ったナイトライダーには追いつけない。そこでおもむろにマックスが登場し、ナイトライダーを事故現場に突っ込ませ爆死させる。
 そんな荒んだマックスの心をいやしてくれるのは愛妻とまだ幼い息子。このままでは自分も暴走族と同じになってしまうのではと恐れたマックスは辞表を提出するが、「1ヶ月ほど休暇を取って旅行にでも行け」と撥ね除けられる。
 そして家族で旅行に出たのだが、これが不幸のはじまりだった。
 オーストラリアの広い荒野をひた走る車やバイクがハリウッドのカーチェイスとは違いこれまた荒々しい。細かいテクニックは抜きでひたすらに走りまくる。
 家族旅行のシーンは不要ではと思う部分もあるが、だからこそラストのマックスの復讐劇に繋がってくる。
 最後の一人の処刑方法だが、『ソウ』(2004)はこいつを参考にしたのだろうか。
 暴走族のボスの殺し方が安易すぎるのは残念だ。これは『マッドマックス2』も同じ。
 ともあれ世界はオーストラリア映画に出会ったわけである。

『ニンジャ・アベンジャーズ』 妻の敵は俺が討つ

B00V9MASUA.jpg

『ニンジャ・アベンジャーズ』 (2013) NINJA: SHADOW OF A TEAR 94分 アメリカ MILLENNIUM FILMS

監督:アイザック・フロレンティーン 製作:ボアズ・デヴィッドソン、フランク・デマルティーニ、トム・ウォーラー 製作総指揮:アヴィ・ラーナー、トレヴァー・ショート キャラクター創造:マイケル・ハースト、ボアズ・デヴィッドソン 脚本:デヴィッド・ホワイト 撮影:ロス・クラークソン 編集:イリット・ラズ 音楽:ローガン・メイダー、ジェラルド・マリーノ ファイトコレオグラファー:ティム・マン
出演:スコット・アドキンス、ケイン・コスギ、肘井美佳、菅田俊、ヴィタヤ・パンスリンガム、ムケシュ・バット、ティム・マン

 前作から数年経った正式な続編である。人気作にあやかった邦題は何とかして欲しい。
 鎧櫃を取り返して、暗殺された先代の後を継ぎ宗家となったスコット・アドキンス。彼は波子を妻としていて、公私ともに幸せな家庭を築いていた。
 しかし、妊娠している波子が夜中に「チョコレートとノリが食べたい」と請われ、真夜中の街に買い物に出たスコット・アドキンスが戻る前に何者かが道場を襲撃し、波子は殺されてしまった。
 波子の死を追ううちにタイで道場を開いている先輩のケイン・コスギと知り合う。一見、味方に見えるケイン・コスギだったが...
 相変わらずスコット・アドキンスの体術が全編において展開する。正直、妻の殺人などどうでも良いほどだ。
 ストーリーは1作目より複雑になっていて、それはそれで良いのだが、スコットのアクションの足を引っ張っている形になっているのが残念。
 ケイン・コスギは髭を生やして中年役を演じているが、どうしてもその裏の童顔が思い出されてしまう。
 ラストは実は裏切り者だったケイン・コスギとスコット・アドキンスの戦い。ケイン・コスギも悪党らしく頑張っているが、前作の伊原の迫力にはかなわなかった。でもこの二人の対決シーンは素晴らしい。

『NINJA』 アメリカン忍者VS日本人忍者

B005I1WKMM.jpg

『NINJA』 (2009) NINJA 86分 アメリカ NU IMAGE

監督:アイザック・フロレンティーン 製作:ボアズ・デヴィッドソン、ダニー・ラーナー、レス・ウェルドン 製作総指揮:ダニー・ディムボート、アヴィ・ラーナー、トレヴァー・ショート、デヴィッド・ヴァロッド 脚本:ボアズ・デヴィッドソン、マイケル・ハースト 撮影:ロス・W・クラークソン 音楽:スティーヴン・エドワーズ
出演:スコット・アドキンス、伊原剛志、肘井美佳、トッド・ジェンセン、伊川東吾、マイルズ・アンダーソン

 ジャケットからしてどうせB級映画なんだろうなとDVDを買ったはいいが本棚にしまいっぱなしだったのを、続編の『ニンジャ・アベンジャーズ』が発売されたので引っ張り出してみてみたら、これがなかなか拾い物だった。
 主演のスコット・アドキンスは柔道、キックボクシングなど複数の格闘技経験のあるアクション俳優。彼の身体が良く動くんだ。筋肉がしっかりついているが、スピード感と柔軟性を兼ね備えている。海兵隊員の父親と沖縄にやってきたが父親は酒に溺れてしまい母と離婚をして母はニューヨークに帰ってしまった。そして父も自殺をしてしまい、10代前半の頃から甲賀流忍術道場で忍術を習いながら世話になっていた。
 ライバルの伊原剛志は絶頂期だった頃のJAC出身で、もちろん体が動く。忍術道場でスコット・アドキンスのライバルだったが、怒りを抑えきれずに稽古中に真剣でスコットに切りつけてしまい、宗家に破門されてしまう。
 そして闇の世界に入った伊原は暗殺者としてテンプル産業を主体とする謎の秘密結社から仕事を引き受けるようになる。
 宗家の跡取りは甲賀忍具を納めた鎧櫃を引き継ぐことになっている。伊原がそれを狙ってくることを恐れた宗家はスコットと娘の波子にニューヨークの東洋学教授のもとに鎧櫃を運ばせる。その直後に忍術道場を襲った伊原に門下生や宗家は皆殺しにされてしまう。
 そして鎧櫃がニューヨークにあることを知った伊原はスコットたちの後を追ってくる。果たして忍者同士の戦いはいかなる展開を見せてくれるのか。
 スコットが秘密結社の手下を1カットで4~5人倒してしまうシーンなどはその運動能力の高さに驚くと同時に、カメラワークもなかなかのもの。ただ、秘密結社が最終的な敵になるのかと思ったら、簡単にスコットの手によって壊滅してしまうのだ。あくまでテーマはスコットと伊原の戦い。
 日本人役の俳優がちゃんとした日本語をしゃべっているのは嬉しい。一部カタコトの人もいるけど。
 スコットと波子が大量殺人犯と勘違いされてニューヨークの警察に捕まり、取締り室に閉じ込められているところに伊原が暗視ゴーグル付きのハイテク忍者衣装で突入してきて、警官を殺しまくるところはなんとなく1作目の『ターミネーター』を思い出してしまった。
 監督のアイザック・フロレンティーンは『デッドロック2』の人か。なるほど納得。
 日本刀で切りつけるだけではなく、貫き通すシーンでは刀や血の表現にCGが使われていて、北野武の『座頭市』を思わせた。
 最後には倒した伊原に目で請われ首を切って介錯する。適当に忍者を題材にしただけではなく、それなりに下調べをして書かれた脚本だろう。

B0010E8NZO.jpg

『BE-BOP HIGHSCHOOL ビー・バップ・ハイスクール』 (1994) 93分 日本 東映、セントラル・アーツ

監督:きうちかずひろ 企画:黒澤満 製作総指揮:渡邊亮徳 プロデューサー:紫垣達郎 原作:きうちかずひろ 脚本:木内一雅 撮影:仙元誠三 美術:今村力 編集:田中修 音楽監督:鈴木清司 音楽:大谷和夫 音楽プロデューサー:高桑忠男 助監督:鳥井邦男
出演:庄司哲郎、岸本祐二、花嫁いづみ、宮崎光倫、家根本渉、山崎りょう、成瀬正孝、山西道広、竹中直人

 原作者のきうちかずひろ監督作である。1カット目が赤い物が大写しになり、それが横にパンしていくとコカコーラの自販機でそこに不良学生の頭がたたきつけられる。ここで「おっ」と思った。いいんじゃないか、いいんじゃないか。でも、終わってみたら好みではなかった。
 キャメラは仙元だけあって陰影を上手く使った映像になっているが、ストーリーがつまらない。田舎の不良高校とトオルがいざこざになり、不良高校が街に乗り込んできて地元不良高校生狩りを始める。それに対抗するために不良校の垣根を越えたJB団が結成され戦いが始まるのだが、うだうだ言ってるだけでなかなかケンカにならない。ケンカになっても単に殴ったり蹴ったり揉み合いになったりしているだけで、アクションとしての面白さがない。リアルと言えばリアルなんだろうが。
 脚本の木内一雅はきうちかずひろの弟だそうである。あまり才能は感じられない。
 那須版で大きなウエイトを占めていたコメディパートを排除して、ハードなバイオレンス物にしたのは面白いが、「なんだぁこらぁ」「やんのか、こらぁ」とか言ってる前に殴れ。戦え。
 主人公のトオルとヒロシの俳優が他の不良たちに紛れてしまって目立たない。オーラがないのだ。その後はVシネマ俳優になったようだが、まぁその程度だろう。
 このバイオレンスが突き抜けると三池の『クローズZERO』シリーズになるのだろう。
 竹中直人はきうちかずひろ初監督作『カルロス』(1990)で主演していたのでゲスト出演。生活指導の教師役で、顔を真っ赤にして怒るシーンがまんまで笑えた。

B00L8KP9FW.jpg

『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎完結篇』 (1988) 90分 日本 東映、東映セントラル・フィルム、セントラル・アーツ

監督:那須博之 企画:黒澤満 プロデューサー:紫垣達郎 原作:きうちかずひろ 脚本:那須真知子 撮影:森勝 美術:和田洋 編集:山田真司 技闘:高瀬将嗣、高山瑛光 音楽:高桑忠男 助監督:祭主恭嗣
出演:仲村トオル、清水宏次朗、宮崎萬純、立花理佐、地井武男、我王銀次

 いよいよシリーズも終わりである。かなりマンネリになっていたのでここらで終わっておくのが正解だろう。前作では警察に拘留されていて出番がなかった清水宏次朗が留置場から出てくるシーンから始まる。
 脚本は相変わらずちゃらんぽらん。二中と五中のケンカに、それぞれ愛徳と立花がバックに付き、両校の戦いになってしまうのかと思ったらそれはそのまま尻つぼみで、我王銀次がいる高校が修学旅行にやってきて、愛徳と立花潰しにしゃしゃり出てくる。
 我王銀次は愛徳に一日だけ転校してきたが、仲村トオルと清水宏次朗に脅され「俺には7万の手下がいるんだぞ~」と言い残して他の高校へ転校してしまったのだ。
 グダグダしゃべっているシーンが多くて、シリーズ中ではもっともアクションシーンが少ないのではないだろうか。ラストはアイススケートリンクでの三校交えての戦いになるが、氷の上で滑るという設定もあまり活用されておらず、もたもたと取っ組み合いをしているだけである。清水宏次朗が何を考えてかパラシュートで上空から落下してきて登場するのは笑ったが。
 ギャグは不発。シリアスは的外れ。ケンカは不完全燃焼とこれが完結篇になってしまったのは残念だ。
 最後、我王銀次は「俺には本当は10万の手下がいるんだ~。必ず仕返しに来るからな」というハッタリぶり。
 仲村トオルと清水宏次朗は『六本木バナナ・ボーイズ』(1989)で再び共演することになるが、つまらない映画だったということしか覚えていない。

B00L8KP9EI.jpg

『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭』 (1987) 95分 日本 東映、東映セントラル・フィルム、セントラル・アーツ

監督:那須博之 企画:黒澤満 プロデューサー:紫垣達郎 原作:きうちかずひろ 脚本:那須真知子 撮影:森勝 美術:金田克美 編集:山田真司 技闘:臼木基晴、帯金伸行 音楽:埜邑紀見男 音楽プロデューサー:高桑忠男、天翔陽子 助監督:祭主恭嗣
出演:仲村トオル、宮崎萬純、立花理佐、小沢仁志、泉谷しげる、梅宮辰夫、ガッツ石松、大地康雄、草薙幸二郎、地井武男

 諸事情で清水宏次朗が登場せず、仲村トオルの単独主演となっている。劇中ではケンカで警察に捕まり拘留されていることになっているが、実際には仲村トオルとの不仲説、体調不良説など様々な憶測が飛び交っている。
 基本的には清水港で撮影が行われているが、一部シーンは愛知県の常滑市で撮影されている。中部国際空港が出来て今では栄えているが、当時は焼き物が産業としてあるぐらいの田舎だった。私はその常滑の東隣の半田市出身で、仲村トオルが撮影のため半田市のホテルに宿泊しており、出待ちの女子高生などがいたという噂を聞いている。
 那須真知子の脚本は相変わらずの出来で、各高校のトップが割と仲良くしていて抗争が起きないため、それを不満に思う1年生が同盟を結びトップをあおり、なぜか仲村トオルの愛徳高校と小沢仁志の北高の抗争に発展すると意味がよく分からない。
 終盤はデパートの中での対決となっていて、ショーウインドウのガラスを突き破ったり、エスカレーターを転がり落ちたりとジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー』(1985)を10分の1にしたぐらいには迫力のある戦いとなっている。
 梅宮辰夫が愛徳の校長、ガッツ石松が教頭としてゲスト出演している。梅宮はともかく、ガッツ石松の教頭は無理がある。泉谷しげるは仲村トオルたちがたむろしているバスを改造した飲食店の店長で、このバスは実際に走って危機一髪のところに駆けつける。どうやら泉谷しげるは愛徳の卒業生のようだ。
 清水宏次朗の不参加はやはり大きい。息の合った二人のコンビが観られないのは寂しい。二人が主役のシリーズであることが再確認できる。

B00L8KPCQI.jpg

『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎狂騒曲』 (1987) 90分 日本 東映、東映セントラル・フィルム、セントラル・アーツ

監督:那須博之 プロデューサー:黒澤満、紫垣達郎 原作:きうちかずひろ 脚本:那須真知子 撮影:森勝 美術:和田洋 編集:山田真司 技闘:臼木基晴(倉田アクションクラブ) 音楽プロデューサー:高桑忠男、石川光 助監督:北浜雅弘
出演:仲村トオル、清水宏次朗、柏原芳恵、宮崎萬純、五十嵐いづみ、少女隊、大地康雄、地井武男

 前半で仲村トオルが女の子とデートするために普通の高校生に化けて私服で登場するのだが、不良姿よりそっちの方が似合ってるんだよな。
 シリーズも4作目となり、仲村トオルの人気が高まってきた。清水宏次朗との息はばっちり合っているのだが、作中での清水宏次朗の扱いがひどい。トラックにひき逃げされてしまい左足を骨折して車いすになるのだが、そこを不良軍団に誘拐されてしまう。
 車いすに座ったきりだからラストの対決シーンではほとんど見せ場がなく、仲村トオルの独壇場。ある方法で馬を手に入れた仲村トオルは不良軍団を馬で追いかけ回す。それ、もうケンカじゃないだろ。
 この作品での扱いが気にくわなかったのか、次回作の『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭』では清水宏次朗が登場しない。ほとんど添え物だもんなぁ。
 ラブコメチックなノリのシーンがありこっぱずかしくて観てられない。那須真知子の脚本は出来が良くないと思うぞ。
 アクション監督が高瀬道場の高瀬将嗣から倉田アクションクラブの臼木基晴に変わった。でもアクションのノリはさほど変化はないかな。
 ショウ子が不良軍団によって建物の二階から下の海に落とされるのだが、あれはスタントじゃなくて本人がやってないか? だとしたら根性があるな。
 仲村トオルたちの舎弟カネコの漢字が兼子だと分かるが、だからどうしたということはない。日本映画は何でキャスト欄に役名を書かないのかね。
 柏原芳恵が実に嫌な女子大生役で登場し清水宏次朗を振り回すが、柏原芳恵自体が実際に嫌な人間そうなのでなんとなく納得。
 少女隊はデパートの屋上で歌っていた女の子たちか?
 しかし仲村トオルの劇中歌はひどかったな。

B00L8KPAKQ.jpg

『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎行進曲』 (1987) 93分 日本 東映、東映セントラル・フィルム、セントラル・アーツ

監督:那須博之 プロデューサー:黒澤満、紫垣達郎 原作:きうちかずひろ 脚本:那須真知子 撮影:森勝 美術:和田洋 編集:山田真司 技闘:高瀬将嗣 音楽:埜邑紀美男、都志見隆 音楽プロデューサー:高桑忠男、石川光 助監督:祭主恭嗣
出演:仲村トオル、清水宏次朗、宮崎萬純、五十嵐いづみ、小沢なつき、地井武男

 映画の冒頭でヒロイン役の中山美穂がアメリカ留学してしまう。そのため出番はなし。原作でもそうなっているのか、アイドルとして売れてきた中山美穂サイドが出演を経比したのかは不明。代わりに前作にも登場した仲村トオルに惚れている中学生のショウ子の出番が多くなっている。
 進学校の不良をからかったりして遊んでいる仲村トオルと清水宏次朗。そんな彼らが高校を中退した与太者軍団に付け狙われることになる。
 ラストはショウ子と舎弟のノブオが与太者軍団に捕らえられ、救出のために鋳物工場に殴り込む。炎が舞い上がる鋳物工場はアクションに映える。『ターミネーター2』みたいだな。
 対決シーンはこれまでの中で一番力が入っている。殴られた人間がワイヤーアクションで跳んでいったりと工夫もされている。
 ゴリラ顔の他校番長が列車に轢かれる寸前にふらふらっと鉄橋から川に落ちるシーンは1カットで撮影されている。早回しはしていないようで、危険なスタントだ。
 主人公二人のコンビネーションはさらに息が合ってきたが、ギャグとケンカの連続で少々マンネリ気味になってきた。
 与太者軍団がたむろしているのは街のゲームセンター。そういえば当時のゲームセンターにはよく不良がいたものだ。今ではビデオゲームが難しくなってしまい、他にはメダルゲームがあるぐらいなのですっかりゲーセンからは足が遠のいてしまったが、今はどんな風になっているのだろうか。
 一作目の敵役小沢仁志が別人役で登場している。相変わらず高校生には見えないな。なんで再起用となったのかよく分からない。別の人で良かったんじゃないだろうか。

B00L8KP1BE.jpg

『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌』 (1986) 95分 日本 東映、東映セントラル・フィルム、セントラル・アーツ

監督:那須博之 企画:長谷川安弘 プロデューサー:黒澤満、紫垣達郎 原作:きうちかずひろ 脚本:那須真知子 撮影:森勝 美術:大嶋修一 編集: 田中修 技闘:高瀬将嗣 音楽:矢野立美 主題歌:中山美穂 主題歌作曲:小室哲哉 助監督:成田裕介

出演:仲村トオル、清水宏次朗、中山美穂、宮崎ますみ、中野みゆき、地井武男、木之元亮、浅野ゆう子、成田三樹夫、草薙幸二郎

 前作のラストで女子校に転校してしまった中山美穂がまた愛徳高校に帰ってくる。ご都合主義だなぁ。
 不良娘宮崎ますみのスカートが長い長い。どんどんスカートが短くなっている現在とは逆だな。
 仲村トオルと中学時代に因縁のある男が番長の城東工業高校が愛徳の不良たちにボンタン狩りを仕掛けてくる。ボンタンとは学生服のズボンのこと。そんなものを奪い去ってどうしようというのかよく分からないが、不良の考えることなんてそんなものだろう。
 そして一度は城東に敗北した仲村トオルと清水宏次朗は、中山美穂を人質に取られオープンしたばかりの海岸の崖の上に建っているドライブインにやってくる。そして始まる愛徳軍団対城東軍団の大乱闘。これがかなりメチャメチャで店内を金属バットで破壊しまくるわ、トラックで突っ込んでくるわで、最後には二階建てのドライブインがバスター・キートンの映画のように崩壊してしまう。あるいは『1941』のラストかな。ドライブインのオーナーは大迷惑だわ。保険金降りるんだろうか。火災保険じゃないだろうし、地震保険でもないだろう。
 仲村トオルと清水宏次朗を別々の立場から見守る中山美穂と宮崎ますみの関係がライバルのような奇妙な女同士の連帯感のような感じで面白い。
 残念なのは敵の番長が迫力不足なところ。前作では小沢のアニィだったから小物感は否めない。仲村トオルとの対決ではナイフまで出してくるが、怖くないんだよな。
 仲村トオルたちがたまり場にしているキング卓球場を上手く使って、二人の落ち込んでいる感情や、寂しさを感じる中山美穂などを表現している。
 黒の学ランの愛徳に対し、城東は水色の学ランなので乱闘でも容易に見分けがつく。脇役は正直個性があまり感じられないから助かる。滑舌が悪い俳優もいるので日本語字幕も収録して欲しかった。東映は入ってないんだよな。東宝はだいたい入ってるんだが。
 成田三樹夫は城東の番長の父親として特別出演。出てくるのは1シーンだけ。
 愛徳のスケバンとしてお妙というのが出てくるが、あのガタイと技の切れは女子プロレスラーだな。
 中山美穂が歌う主題歌を作曲しているのは小室哲哉。こんな仕事もしてたんだ。最近は深夜アニメ『パンチライン』の音楽を担当していて笑ってしまった。落ちたなぁ。